総務省が30日発表した5月の労働力調査では、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、完全失業者数(季節調整値)が前月比19万人増の197万人と、3年ぶりの水準に悪化した。厚生労働省が把握するコロナによる解雇者数も29日現在で、2万9237人と、3万人の大台が目前に迫る。ただ、緊急事態宣言の解除を受け、休業からの復帰も進むなど一部では回復の兆しも見られる。
雇用環境が特に厳しいのは観光関連だ。労働力調査によると、ホテルやレストランなど宿泊・飲食サービス業の就業者数は5カ月連続で前年を下回り、産業別の休業者数も79万人と最多となった。観光業の比率が高い沖縄県は全国で唯一、就業地別の求人倍率が1倍を切る。
一方、5月の労働力調査では、4月に休業していた人のうち、44%が仕事に復帰したことも判明。仕事がなくなった人は6.6%で、残りの約半分は依然として休業が続いている。4月の休業者数は過去最多の597万人を記録し、失業者の急増が懸念されていた。
5月の有効求人倍率は過去2番目の急落だったが、緊急事態宣言の解除に伴い、求職活動を再開した人が増えたことが倍率の低下につながった面もある。季節調整値では就業者数や新規求人数がプラスに転じており、厚労省は「4月に比べ経済活動が再開し、明るい動きも見られる」と指摘した。