• 香港当局が官報に掲載、即時発効-最高刑は無期懲役
  • 中国は北京で日本時間1日午前11時に記者会見を開く

中国の習近平国家主席は30日、香港の国家安全法の施行令に署名した。香港の反対派を一掃できるようにする動きだが、すでに米国が報復措置を打ち出したほか、香港の金融センターとしての地位も危うくしかねない。

  全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は同日、国家安全法制の柱となる「香港国家安全維持法」草案を全会一致で可決。国家安全法を香港基本法に組み込むことを決めたと、国営新華社通信が報じた。

  国家安全法は30日遅く官報に掲載され、即時発効した。政権転覆と国家分裂、テロ活動、外国勢力と結託して国家安全に危害を加える行為を罰する法で、最高刑は無期懲役。翌日の7月1日は中国への香港返還の記念日に当たる。 

Hong Kong Chief Executive Carrie Lam Holds News Conference
香港の林鄭月娥行政長官(6月30日)

  国家安全法の制定は香港特別行政区政府がほぼ関わることなく、中国の立法府によって進められた。林鄭月娥(キャリー・ラム)長官は同法草案の全文を見てはいないと認めているものの、警察と司法当局は法を順守させる用意があると述べた。

  全人代法制工作委員会の沈春耀主任と国務院香港マカオ事務弁公室の張暁明副主任は、1日午前10時(日本時間同11時)に北京で香港国家安全法制について記者会見を開く。記者からの質問にも応じる。国務院新聞弁公室が通知した。

  民主活動家、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏や周庭(アグネス・チョウ)氏は、両氏らが創設に関わった政治団体「香港衆志(デモシスト)」からの離脱を表明。同団体も、解散し全ての活動を停止すると発表した。活動家らは個人の身分で抗議活動を続けるとしている。

Demosisto's Joshua Wong and Nathan Law Announce Their Bids for the Pro-Democratic Camp's Primary Election
黄之鋒氏

  ジョンソン英首相は「深く懸念している」と表明。菅義偉官房長官は国際社会の信頼を損ね、遺憾だと述べた。トランプ米政権は29日、香港の貿易上の優遇措置の取り消しに向けた措置を取った。

  中国外務省の趙立堅報道官は30日、いかなる国も香港の問題に干渉する権利はないとし、米国に関しては「必要な報復措置」を取る可能性があると警告した。

  林鄭長官も米国による制裁についてはおびえることはないと説明し、「われわれはそのような行動によって妨げられることはない」と語った。

原題:China Approves New Hong Kong Security Law, Risking U.S. AngerChina’s Xi Signs Order to Impose Security Law: Hong Kong UpdateChina Approves New Hong Kong Security Law, Drawing U.S. Threats(抜粋)