- 2019年度通期ではマイナス5.2%、8兆2831億円の損失
- 4-6月は国内、海外株式で取り戻せているはず-しんきんAM
世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2020年1-3月期に18兆円近い運用損を計上した。損失の額、率とも自主運用を始めた01年度以降で四半期として過去最悪。新型コロナウイルス感染の世界的な流行を受けた株価の急落で保有資産の評価損が膨らんだ。
GPIFが3日に発表した資料によると、19年度第4四半期となる20年1-3月期の運用損失は17兆7072億円。収益率はマイナス10.71%と急激に悪化し、3月末の保有資産残高は150兆6332億円に縮小した。第3四半期末である19年12月末は170兆円近くにまで達していた。
1-3月期の運用収益率
運用資産全体 | ▲10.71% 過去最悪 | |
国内債券 | ▲0.51% | |
国内株式 | ▲17.63% | |
外国債券 | 0.50% | |
外国株式 | ▲21.88% 運用損失額は過去最悪 |
19年度通期の運用業績は8兆2831億円の損失を計上。第4四半期の影響が通期全体の運用成績に響いた。
2019年度の運用収益率と資産残高
運用資産全体 | ▲5.20% | |
国内債券 | ▲0.36% | |
国内株式 | ▲9.71% | |
外国債券 | 3.55% | 大幅な金利低下で債券評価額が上昇 |
外国株式 | ▲13.08% |
3月末の運用資産額 | 150兆6332億円 |
自主運用を始めた2001年度からの累積収益 | 57兆5377億円 |
宮園雅敬理事長は「運用結果は国内外の株式が下落したことから、年度ベースではマイナスの収益率となった」と説明。「2020年に入ると、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、世界経済と企業収益の先行きに対する懸念から投資家のリスク回避姿勢が高まり、大幅に下落した」とした。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は「この期間のマイナスはしょうがない。予想通りという感じ」としたうえで、「3月から株も戻っているので4-6月は国内、海外株式で取り戻せているはず」と分析した。