過去最多の22人が立候補した東京都知事選挙は、現職の小池百合子氏(67)が、2回目の当選を果たしました。
東京都知事選挙の結果です。
▼小池百合子、無所属、現。当選。366万1371票。
▼宇都宮健児、無所属、新。84万4151票。
▼山本太郎、れいわ新選組、新。65万7277票。
▼小野泰輔、無所属、新。61万2530票。
▼桜井誠、諸派、新。17万8784票。
▼立花孝志、諸派、新。4万3912票。
▼七海ひろこ、諸派、新。2万2003票。
▼後藤輝樹、諸派、新。2万1997票。
▼澤紫臣、無所属、新。2万738票。
▼西本誠、諸派、新。1万1887票。
▼込山洋、無所属、新。1万935票。
▼平塚正幸、諸派、新。8997票。
▼服部修、諸派、新。5453票。
▼齊藤健一郎、諸派、新。5114票。
▼市川浩司、諸派、新。4760票。
▼内藤久遠、無所属、新。4145票。
▼関口安弘、無所属、新。4097票。
▼竹本秀之、無所属、新。3997票。
▼石井均、無所属、新。3356票。
▼長澤育弘、無所属、新。2955票。
▼押越清悦、無所属、新。2708票。
▼牛尾和恵、無所属、新。1510票。
現職の小池氏が、立憲民主党、共産党、社民党の支援を受けた宇都宮氏やれいわ新選組の山本代表、日本維新の会が推薦した小野氏らを抑えて、2回目の当選を果たしました。
小池氏は、兵庫県出身の67歳。民放のニュースキャスターなどを経て、平成4年の参議院選挙で、当時の日本新党から立候補して初当選しました。
翌平成5年に衆議院議員に転じたあと、平成14年には自民党に入り、環境大臣や防衛大臣、党の総務会長などを歴任しました。
前回・4年前の都知事選挙では政党の支援を受けずに立候補し、自民・公明両党などが推薦した候補らを破って当選し、初めての女性の都知事になりました。
今回の選挙でも、小池氏は、政党の推薦や支持は求めませんでしたが、自民党は、独自候補の擁立を断念し、二階幹事長が支援する考えを示していたほか、公明党も実質的に支援しました。
また、小池氏は、新型コロナウイルス対応のため、知事としての公務を優先するとしたほか、人が密集することを避ける必要があるとして街頭演説は一切行わず、インターネットを通した運動に徹しました。
そして、新型コロナウイルスの第2波に備えるため、医療や検査体制を充実させていくことや、来年に延期された東京オリンピック・パラリンピックは簡素化して費用を縮減すると訴えました。
その結果、自民党や公明党の支持層に加え、宇都宮氏を支援した立憲民主党の支持層や、特定の支持政党を持たない無党派層などから幅広く支持を集めました。
小池氏「大切な2期目の重責を担っていく」
小池氏は「都民の力強い支援に対し、大変うれしく感じると同時にこれから大切な2期目の重責を担っていく、その重さに大変責任を感じる。喫緊の課題は何よりも新型コロナウイルス対策で、都民の皆様方の健康と命、暮らしを守っていきたい」と述べました。
新型コロナウイルスの対策として再び事業者に休業要請を行う可能性について、「緊急事態宣言下のように一斉にみんなが休むという形ではなく、かなりピンポイントで、全体での休業要請でない効果的な方法を進めていきたいと考えている」と述べました。
また「これからすぐ行わなければいけないのは補正予算の編成だ。患者を多く受け入れてた医療機関はいま経営的にも大変厳しい状況にある。これらを、国の補正予算を活用しながら補填(ほてん)していく。そして第2波にも備えながら目下、進んでいることに対して3000億円規模になろうかと思うが、補正予算をしっかりあてていきたい」と述べました。
東京オリンピック・パラリンピックについて、「子どもやアスリートは来年に延期されたとはいえ大会を楽しみにして心待ちにしていると思う。ある意味で、コロナに打ち勝った証になることを目標に、コロナ対策を進めていくのも一つだと思う。都民の健康、命を守ることが最優先だが、ひとつのわかりやすい目標になろうかと思う」と述べました。
そのうえで「都としてもオリンピック・パラリンピック後のことも考えながらこれまで多大な投資もしてきた。これらをいかすためにも、簡素化したり、いろいろやり方などをIOCと連携したりしながらどのように進めるかを検討し、大会を開催できるよう進めていきたい」と述べました。
宇都宮氏「都政に関する争点 明らかにすることができた」
都知事選挙には3回目の挑戦となった宇都宮健児さんは、午後8時すぎ、東京・新宿区の選挙事務所で支援者にあいさつし、「多くの都民の期待に応えたかったが、それが実現できなくて大変残念だ」と述べました。
そのうえで今回の選挙について「コロナの感染症が拡大する中で一定の制限を受けた選挙戦だったが、コロナ対策、オリンピック・パラリンピック、カジノ誘致の問題など、さまざまな都政に関する争点を明らかにすることができたと思っている」と述べました。
そして「今回のコロナ災害で、収入が減ったり、仕事やすまいを失ったり、生活や命が脅かされている人たちがたくさん出てきている状況がストレートに都政に届いていないと感じている。そのような切実な課題が伝わるよう、小池さんにはぜひ風通しのよい都政を作っていただきたい」と述べました。
山本氏「コロナによる損失は十分に補填されていない」
れいわ新選組の代表、山本太郎さんは、東京・新宿区の事務所で支持者にあいさつし、小池さんを山に例え、「強かった『百合子山』、高かった『百合子山』という感想だ。私たちやほかの候補者に託していただいたたくさんの票があり、小池知事の課題は山積しているのだと思う」と述べました。
また、「2月から6月までのコロナによる損失は十分に補填されていない。いま必要な手当てを行わずに、自分たちの金もうけのことを最前に置き、世の中を回している状況を止めるには、東京都知事になる以外にはなかった」と述べました。
その上で、「17日間、直接話を聞いていただいた人は1割にも届かないと思う。多くの人にリーチするのは難しいと選挙のたびに思うが、諦めるわけにはいかない」と述べました。
小野氏「これから小池さんは問われることになる」
熊本県の元副知事で、初めて都知事選挙に挑戦した小野泰輔さんは、午後8時すぎに東京・品川区の事務所で支持者にあいさつし、「民主主義をもっともっと前に進めていくこと、都民や国民が自分事として本当に政治に向き合って、どのような政治参加をしていけばよい社会、よい東京が作れるのか、子どもたちに誇れる日本を残せるのか、そういうことを考えるきっかけを作りたかった」と述べました。
そのうえで、「東京で新型コロナウイルスの感染者も増え続けている。的確なマネジメントができているのかどうかもこれから小池さんは問われることになると思う。どのようにこれから取り組んでいくのか、今回の選挙からスタートして都民の皆さんがしっかりと見ていく必要があると思う」と述べました。
出口調査の結果は
NHKは投票日の5日、東京都知事選挙での有権者の投票行動や政治意識を探るため、都内32か所の投票所で投票を終えた有権者2845人を対象に出口調査を行い、62%にあたる1763人から回答を得ました。一方、4日までに有権者のおよそ15%が期日前投票を済ませていますが、これらの方々は調査の対象になっていません。
男女・年代別は
NHKの出口調査では、小池さんは、
▽男性の50%余り、
▽女性の60%台半ばから支持を集めました。
また年代別に見ますと、小池さんは、
▼18歳、19歳では70%台後半、
▼20代では40%台後半、
▼30代ではおよそ50%、
▼40代では50%台半ば、
▼50代では50%台後半、
▼60代では60%余り、
▼70代以上の60%台後半の支持を集め、すべての年代で最も支持されました。
支持政党別は
出口調査でふだん支持している政党を聞いた結果、各党の支持率は、
◇「自民党」が33%、
◇「立憲民主党」が7%、
◇「国民民主党」が1%、
◇「公明党」が4%、
◇「日本維新の会」が4%、
◇「共産党」が4%、
◇「れいわ新選組」が2%、
◇「都民ファーストの会」が1%、
◇「特に支持している政党はない」が42%となっています。
支持政党別に、どの候補者に投票したのか見てみますと、
▽自民党と答えた人のうち、最も多くの支持を集めたのは小池さんで70%台後半を占めました。
▽立憲民主党と答えた人のうち、最も多くの支持を集めたのは宇都宮さんで40%余り、次いで、30%余りが小池さん、10%台後半が山本さんを支持しました。
▽公明党と答えた人の90%台半ばが小池さんを支持しました。
▽日本維新の会と答えた人のおよそ40%が小野さんを支持し、20%台後半が小池さんを支持しました。
▽共産党と答えた人のうち、最も多くの支持を集めたのは宇都宮さんで60%台後半、次いでおよそ20%が小池さん、およそ10%が山本さんを支持しました。
▽特に支持している政党はないと答えた無党派層のうち、最も多くの支持を集めたのは小池さんで50%余り、次いで、10%台後半が宇都宮さん、10%余りが小野さんと山本さんを支持しました。
東京五輪・パラの開催について
出口調査で「来年7月からに延期された東京オリンピック・パラリンピックを開催すべきだと思うか」聞いたところ、
▽「開催すべき」が27%、
▽「中止すべき」が36%、
▽「さらに延期すべき」が17%、
▽「わからない」が21%でした。