[ニューヨーク 16日 ロイター] – 終盤のニューヨーク外為市場では、新型コロナウイルスの感染拡大懸念がリスクオフの動きにつながり、安全資産であるドルは小幅に上昇した。
新型コロナの感染拡大が続き、カリフォルニア州などで再び営業停止命令が出されたことで、米経済と労働市場の厳しい状況が続くという懸念が高まっている。
米商務省がこの日発表した6月の小売売上高は前月比7.5%増と、市場予想の5%増を上回った。経済活動の再開に伴い小売売上高は上向いたものの、感染再拡大や高水準の失業率が初期の景気回復を脅かす中、今後の見通しを巡る不透明感は根強い。
また、米労働省が日発表した11日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は130万件となった。前週の131万件からは減少したものの、市場予想の125万件を上回った。
主要6通貨に対するドル指数=USDは0.35%高の96.350。
TDセキュリティーズのシニア外為ストラテジスト、マゼン・イッサ氏は「小売売上高はかなり前向きな内容だった。とはいえ、外国為替に関する状況はそれほど変わっていないと思う」と指摘。
3月23日に株式市場が底を打って以来、為替は株式との相関が高くなっているためだとし、「指標自体が為替市場の焦点になっているわけではなく、リスク資産のパフォーマンスの問題だ。今後数カ月間の指標が悪くても、財政と金融の安全弁があるという考えがその理由になっている。中央銀行には厚い信頼が寄せられており、為替のボラティリティー衰退はその影響を反映している」と述べた。
ユーロEUR=は午後の取引でやや軟調に推移し、0.28%安の1.138ドル。17日から始まる欧州連合(EU)首脳会議では、7500億ユーロ(8560億ドル)の欧州復興基金案が協議される。
アナリストは、復興基金が計画より小規模になったとしても、対ユーロのドル安が続く可能性はあると予想。テンパスのトレーディング部門バイスプレジデント、ジョン・ドイル氏は「(欧州は)問題を抱えてはいるが、実体経済で米国よりもはるかに回復しやすい位置にある。それもドルが全体的に弱含んでいることを正当化する理由だ」と述べた。
ドル/円
NY終値 107.26/107.28
始値 107.13
高値 107.39
安値 107.05
ユーロ/ドル
NY終値 1.1383/1.1385
始値 1.1394
高値 1.1442
安値 1.1371