[ニューヨーク 17日 ロイター] – 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが幅広い通貨に対して下落した。欧州連合(EU)首脳による新型コロナウイルス復興基金案を巡る協議は難航しているもようだが、ユーロは4カ月ぶりの高値近辺に浮上した。 

チェコのバビシュ首相は、復興基金の規模を巡って各国が「真逆の意見」を主張しているとした上で、「きょう中に一定の合意が得られるか様子を見守るが、合意は難しいと思う。これまでのところ、まとまる気配が感じられず、むしろその逆の雰囲気だ」と語った。 

終盤のユーロEUR=は0.49%高の1.144ドルと、新型コロナ危機で市場が急落した3月以来の高値である15日の1.145ドルに迫った。 

ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズのシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏は「18日のEU首脳会議終了までにポジティブな結果が出れば、ユーロは年初来高値更新のチケットを手に入れるだろう」と述べた。 

ユーロが上昇すれば、テクニカル上の節目である1.15ドルを19年2月以降で初めて突破する可能性が高い。 

ただマニンボ氏は「逆に言えば、失望的な内容なら直近のユーロの上昇が巻き戻されるリスクがある」と警告した。 

BDスイスの投資調査部門責任者、マーシャル・ギットラー氏は、EUが救済計画を前進させれば、長期にわたりユーロに影響を及ぼすと指摘。合意によってショックに対する財政面での対応力が確立され、通貨同盟がさらに安定化することで、「準備通貨としてのユーロの魅力が高まる」と語った。 

ドル指数=USDは0.36%安の95.930。リスクオンの動きがドル買いを抑制し、円JPY=やスイスフランCHF=に対しても下落した。 

他の安全通貨に対するドルの下落は、危機下にあっても米国内の新型コロナ感染者の急増によってドルの魅力が低下していることを示す可能性もある。 

米ミシガン大学が17日に公表した7月の消費者信頼感指数(速報値)は73.2と前月の78.1から低下し、市場予想の79を割り込んだ。新型コロナウイルス感染の再拡大が消費者心理に影響した。 

ドル/円 
 NY終値 106.99/107.0 
   始値 107.13 
   高値 107.27 
   安値 106.95 

ユーロ/ドル 
 NY終値 1.1426/1.143 
   始値 1.1428 
   高値 1.1443 
   安値 1.1417