[29日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は28─29日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0─0.25%に据え置くことを全会一致で決定した。新型コロナウイルス感染拡大の影響からの景気回復に向け「あらゆる手段」を尽くすとし、必要な限り政策金利をゼロ%近辺にとどめると改めて表明した。
市場関係者のコメントは以下の通り。
●一貫したメッセージを評価 <グレンミードのプライベートウエルス部門最高投資責任者(CIO)、ジェイソン・プライド氏> 基本的に現在の政策に変更はないとの見方が示された。重要なのは、政策金利を現行水準で維持し、債券買い入れを現在のペースで続けるという米連邦準備理事会(FRB)当局者の最近のメッセージが保持されたことだ。
FRB当局者はこれまで過度にメッセージを送ってきたため、FOMCの結果にさほど驚きがなくなっている。もっとも、メッセージに一貫性があり、当局者の意向を市場が把握できることは良い点だ。
●9月会合のフォワードガイダンスが鍵に <エバーコアISIのマクロ調査アナリスト、スタン・シプリー氏> 新たな情報はほとんどなかった。これまでの措置や経済の反応を見たいのだろう。ほぼ予想通りだった。鍵となる声明はフォワードガイダンスが示される9月になるだろう。
FRBはこれまで多くの措置を導入し、資本市場が崩壊しないようにしてきた。公衆衛生危機の中で刺激を与えるのに十分かどうかは、まだ分かっていない。
●コロナ動向が金融政策を主導 <チェース・インベストメント・カウンセル(バージニア州)のプレジデント、ピーター・トュズ氏>予想通り、何の変更もなかった。長期にわたり金利は低水準にとどまり、潤沢な流動性が供給され続ける。
連邦準備理事会(FRB)の政策は、新型コロナウイルス感染拡大が経済に及ぼす影響に動かされている。FRBは、経済が奈落の底に落ちるのは回避したい。
回復の兆候は見られたが、各地で新型ウイルス感染が再拡大する中、回復の兆候は後退しつつある。回復が暫定的なものであるとの事実をFRBは重視している。
●慎重姿勢強める、ドル安の材料に <BKアセット・マネジメント(ニューヨーク)のマネジングディレクター、キャシー・リエン氏> 全体的に、FOMCの声明自体が経済支援に向けた持続的なコミットを示した。慎重でハト派的な姿勢を若干強めていることは明らかで、基本的には市場に対し、すぐに利上げするつもりはないとの見解を伝えた。米連邦準備理事会(FRB)は新型コロナウイルスを懸念しており、パウエル議長が異なる発言をしない限り、楽観的な見方にシフトする前にイールドカーブが一貫してフラット化するか静観姿勢を強めるだろう。結局、経済は多くの刺激策を必要としている。
今回のFOMCで一段と慎重姿勢を強めた。驚きとは言えないが、ドルが下落している環境下では、ドル安の材料となるだろう。
●ハト派姿勢を再確認 <アリアンツ・インベストメント・マネジメント(ミネアポリス)のシニア投資ストラテジスト、チャーリー・リプリー氏> 新型コロナウイルス感染者が米全土で急増しているため、景気回復ペースはここ数カ月で鈍化している可能性があり、米連邦準備理事会(FRB)は政策変更を急ぐつもりはないようだ。連邦公開市場委員会(FOMC)では、パンデミック(世界的大流行)による経済的影響からの回復が明らかになるまで緩和を維持する必要があるとした上で、ハト派的な政策スタンスが改めて示された。経済見通しに確実性と明確さが伴い、物価の安定と完全雇用に向けて進展が見られるまでは、FRBは政策を変更しないだろう。