[ワシントン 3日 ロイター] – トランプ米大統領は3日、中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)傘下の短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」について、米事業の買収合意が成立しなければ9月15日付で運営を禁止すると表明した。また、米マイクロソフトなどによる買収に反対しないとし、米財務省に買収による利益がもたらされる必要があるとの考えを示した。
トランプ大統領は「米財務省に多くの利益をもたらす形で、マイクロソフトもしくはその他の企業がティックトック買収で適切に合意しない限り、ティックトックの運営を9月15日付で禁止する」と述べた。
その上で、「誰がいかなる価格で買収しようと、米政府がこの買収を可能にしているため、米財務省が利益のかなり大きな部分を得る必要がある」と述べた。ただ、具体的に米政府がどのように買収による利益を得るのかは明らかになっていない。
トランプ氏は7月31日、ティックトックの利用を禁止する可能性があると表明。ロイターは8月2日、関係者の話として、トランプ大統領はマイクロソフトへのティックトック売却を巡る交渉期間としてバイトダンスに45日与えることに同意したと報じていた。
ニュークレウス・リサーチのアナリスト、ダニエル・エルマン氏は、ティックトック米事業の買収は、「特に地政学上の緊張が高まった状態が続く場合、米企業による中国のインターネット関連企業買収の先駆けになる可能性がある」と指摘。中国インターネットサービス大手の騰訊控股(テンセント・ホールディングス)の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」などが対象となる可能性があると述べた。
ポンペオ国務長官は2日、ウィーチャットに言及した上で、トランプ大統領は「中国共産党に関係しているソフトウエアに起因する広範な国家安全保障上のリスクについて、向こう数日間に何らかの措置を講じる可能性がある」と述べている。
トランプ氏の発言に先立ち、ナバロ米大統領補佐官はこの日、マイクロソフトがティックトックを買収する場合、マイクロソフトが中国で保有する企業を売却することもあり得ると示唆した。
ナバロ氏はCNNに対し、「問題はマイクロソフトが妥協するかだ。中国の保有企業を処分する案も考えられる」と述べた。
マイクロソフトはコメントしなかった。
また、ナバロ氏はFOXニュース・チャンネルに、ティックトック買収候補が中国で事業を行っている場合、問題になり得ると指摘。マイクロソフトの検索エンジン「Bing」やインターネット電話サービス「スカイプ」を挙げ、「事実上、中国の検閲、監視を可能にしている」と懸念を示した。
一方、民主党のシューマー上院院内総務は、ティックトックの米事業売却に賛成する考えを示し、「米企業がティックトックを買収すべきで、そうすれば誰もが利用を続けられ、個人情報も安全だ」と述べた。
また下院共和党議員らはこの日、ティックトックのほか、中国共産党とつながりがあるとされる他のテクノロジー企業に関する説明をポンペオ国務長官に要請した。