レバノンの首都ベイルートで4日に起きた大規模な爆発は、死者が135人に増えました。レバノン政府は、非常事態を宣言し、近く調査委員会を立ち上げて爆薬の原料にもなる化学物質が長期間にわたって保管されていた経緯などを調査し責任を追及することにしています。

レバノンの首都、ベイルートにある港で、4日に起きた大規模な爆発について、レバノンの公衆衛生相は5日、現地メディアに、これまでに135人が死亡し、およそ5000人がけがをしたと明らかにしました。

今も数十人の行方がわかっておらず、爆発現場では、日が暮れてからもライトの明かりを頼りに懸命の救出作業が続いています。また、ベイルートの県知事は、首都で30万人が家を失い、被害額は、30億ドルから50億ドルにのぼると指摘しています。

爆発があった港の倉庫には、爆薬の原料にもなる硝酸アンモニウムおよそ2750トンが、6年にわたって保管されていたことがわかっています。

アウン大統領は5日、緊急の閣議を開き、ベイルートに、2週間の非常事態宣言を出し、この間、軍に対し、硝酸アンモニウムの保管に関わった人物を自宅に軟禁するよう要請しました。

政府は、近く、調査委員会を設置し、5日かけて原因の調査や責任者の特定にあたり、その結果を公表することにしています。

アウン大統領は、「できるだけ早く調査を行って何が起きたのかを明らかにし、責任がある人物を処罰する決意だ」と述べて責任を追及する考えを示しました。

衛星画像でも爆発の威力が

衛星画像でも爆発の威力が

レバノンの首都ベイルートで起きた大規模な爆発で、爆発後の現場をうつした衛星画像は、爆発の威力のすさまじさを物語っています。

アメリカの衛星会社プラネット社が撮影したのは、爆発が起きた港で、爆発が起きた場所を中心にふ頭が大きくえぐりとられてクレーターのようになっています。また、爆発前に撮影された画像では、ふ頭の周辺に倉庫のようなものが確認できますが、爆発後には、跡形もなく無くなったり、骨組みだけになったりしています。

周囲には爆風で飛ばされたとみられるコンテナや建物の破片なども散らばっていて、爆発の威力を伺い知ることができます。

さらにアメリカの衛星会社マクサー・テクノロジーズが、別の角度から撮影した衛星画像では、爆発が起きたふ頭の対岸に係留されていたクルーズ船のような船が、横倒しになっている様子が確認できます。

仏マクロン大統領 ベイルートへ

大規模な爆発を受けて、レバノンと歴史的に関係の深いフランスでは、マクロン大統領が5日、ツイッターで、連帯のメッセージを伝えるため現地入りする意向を表明しました。

AFP通信によりますとマクロン大統領は、6日、ベイルートに入り、レバノンのディアブ首相やアウン大統領と会談するということです。

フランス政府はすでに2機の軍用機で医療物資とともに医師や捜索や救助にあたる消防隊員のチームを現地に派遣しています。

また、パリ市のイダルゴ市長は犠牲者を追悼するため6日午前零時にエッフェル塔の照明を落とすと発表しています。