[ニューヨーク 11日 ロイター] – 終盤のニューヨーク外為市場ではドルが小幅高。ユーロは不安定な値動きの中、序盤の上げから反転した。米国の新型コロナウイルス追加経済対策を巡る協議が進展していないことが明らかになり、リスク選好の動きが後退した。
円やスイスフランなど他の安全通貨も同様に小口買いを集め、対ドルで下げ幅を縮小した。
米与野党の上院トップが11日、新型コロナウイルスの追加経済対策を巡って非難の応酬を繰り広げる中、共和党のマコネル院内総務は政府と民主党が話し合いをしていないと明らかにした。
マコネル院内総務の発言を受け、米国株は下げに転じ、米債価格は下げ幅を縮めた。
バノックバーン・フォレックスのチーフ市場ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「当面は進展しないだろう。これは大きな問題だ。週600ドルの失業給付がなくなれば、所得が減り、消費が減少する」と述べた。
終盤の取引で、ドル指数=USDは0.1%高の93.709。一時は1週間ぶりの高値を付けた。
ユーロEUR=EBSは1.1733ドルに下落。もっとも、取引時間中には対ドルで一時1.18ドル台に乗せる場面があった。ドイツ欧州経済センター(ZEW)が発表した8月の独ZEW景気期待指数は71.5で、前月の59.3から上昇。ロイターが集計したエコノミスト予想の58.0を大きく上回った。
米10年債利回りUS10YT=RRが4週ぶりの高水準を付けたことを受け、ドルは対円で106.68円と3週間ぶり高値に上昇。終盤は0.5%高の106.53円。
アナリストによると、新型コロナ追加対策を巡る行き詰まりに加え、米中関係の悪化が、安全通貨としてのドルを引き続き支援しているという。
中国政府は10日、米共和党議員を含む米国人11人を制裁を科すと発表した。米国が先週末、香港の自治侵害などを理由に、香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官を含む中国と香港の当局者11人を制裁対象にしたことを受けた動き。
一方、ムニューシン米財務長官は10日、ホワイトハウスで会見し、来年末時点で会計基準を満たさない中国などの海外企業は米市場で上場廃止になると述べた。
これらの動きに対する市場の反応は限定的だったが、アナリストからは長期的な影響があるかもしれないとの声が出ていた。
豪ドルAUD=D3やニュージーランドドルNZD=D3は対ドルで下げに転じた。
イングランド銀行(英中央銀行、BOE)のラムスデン副総裁が、英経済が再び減速した場合には、英中銀は量的緩和(QE)を強化するとの認識を示したことを受け、序盤に買われていたポンドも対ドルで下げに転じ、0.2%安の1.3041ドルとなった。
ドル/円
NY終値 106.48/106.50
始値 106.12
高値 106.68
安値 105.94
ユーロ/ドル
NY終値 1.1739/1.1741
始値 1.1790
高値 1.1807
安値 1.1729