メルクやノバルティスといった世界的な医薬品メーカーが、中国事業で苦戦を強いられている。中国の公立病院の医薬品調達入札で、地元勢がかなりの安値で応札しているためだ。中には海外メーカーの応札額を95%余り下回る価格を提示するケースもある。
20日に実施された直近の入札の結果は、中国勢による容赦ない安値攻勢を受け、海外の医薬品メーカーが中国市場から事実上締め出されている状況をあらためて示した。海外企業は何年も前に中国の患者向けの医薬品を開発したが、その供給は困難になっている。中国の医薬品市場の規模は世界2位だ。
イーライリリーが手掛ける統合失調症治療は、中国の斉魯製薬が同様の製品をイーライリリー提示額の10分の1にも満たない額で応札したために敗れた。中国メディアの界面が伝えた。ファイザーの男性用性機能障害治療薬「バイアグラ」は、同じく斉魯の極端に安いジェネリック(後発医薬品)に販路をふさがれた。ファイザーは関節リウマチ薬についても、中国のジェネリック4品に締め出された。
中国中央テレビ局(CCTV)が暫定結果を基に伝えたところによると、中国政府は今回の中央での統一的な調達で55種類の医薬品を選び、平均価格の53%引き下げにつなげた。
世界的な製薬会社は、評価は定まっているものの特許切れとなった自社の医薬品で中国のジェネリックと競うことがもはやできなくなっている。中国市場は従来、こうした企業にとって高い収益をもたらしていた。中国当局は応札価格に上限を設定。海外企業の応札価格の一部はそれを上回っていた。
原題:Foreign Drug Giants Undercut by Up to 95% in China Bidding (1)(抜粋)