キャッシュカードを持っていなくても、スマートフォンのアプリを使ってコンビニのATMで現金の預け入れや引き出しができるサービスが広がっています。

このうち「auじぶん銀行」は、キャッシュカードのかわりにスマホのアプリを使って、コンビニのATMで現金を出し入れできるサービスを8月24日から始めました。

例えば現金を引き出す場合、まず、スマホのアプリを立ち上げて引き出す金額を入力します。このあと、ATMの画面に表示されるQRコードをスマホで読み取り、暗証番号などを入力すると現金を引き出すことができます。

キャッシュレス決済が普及する中、急に現金が必要になった際にもスマホがあれば対応できるようにし、利便性を高めるねらいです。

このサービスは、合わせておよそ3万8000台あるローソン銀行とセブン銀行のATMで利用することができます。

auじぶん銀行イノベーションビジネス本部の都木良和副本部長は、「スマホを活用することで現金の出し入れだけでなく、さまざまなサービスの展開につなげていきたい」と話しています。

同じようなサービスは、新潟県の北越銀行など一部の地方銀行も導入していて、利用できる金融機関は今後さらに増える見通しです。

コンビニATMの存在感

コンビニATMの存在感

セブン銀行とローソン銀行が、それぞれのコンビニなどに設置しているATMは、ことし6月末時点で全国で合わせておよそ3万8000台に上っています。

これに対して、大手銀行5行のATMは去年9月末時点で合わせて2万3000台余りにとどまっています。

長引く低金利で、収益環境が厳しさを増す中、現金の補充やシステムの更新などATMの運営コストがかさんでいるためです。

こうしたこともあって、コンビニの銀行が運営するATMの存在感は年々、高まっています。

コンビニの銀行は、提携先の金融機関から受け取る手数料を収益源としていて、ローソン銀行の高木文隆執行役員は「スマホの取り引きをさらに多くの地方銀行などへ拡大していく方針だ。ATMの機能をさらに拡充し多様なサービスを展開していきたい」と話しています。

サービスの安全性は?

このサービスの安全性はどのように確保されているのでしょうか。

ATMで現金を出し入れするには、ATMに表示されるQRコードをスマホで読み取る必要があります。

ローソン銀行などによりますと、このQRコードは暗号化されている上、1回かぎりの使い捨てで、一定の時間が過ぎるとデータが無効になるということです。

また、スマホのアプリもパスコードなどで保護されているということです。

ただ1回の取り引きでATMやスマホを操作する手順は、キャッシュカードを使って現金を出し入れする場合と比べて多くなり、多少手間がかかる形になります。