香港政府トップの林鄭月娥行政長官は会見で「香港は三権分立ではなく、行政が立法や司法を上回る権力を持つ」と明言しました。民主派は、中国が、香港の統治をさらに強化しようとしていることの表れだと強く反発しています。
香港政府トップの林鄭月娥行政長官は1日の定例記者会見で「香港は三権分立ではなく、立法や司法はそれぞれが役割分担をしているにすぎず、行政がこれらを上回る権力を持つ」と明言しました。
香港の憲法にあたる基本法には「三権分立」についての記述はありませんが、これまで香港の高校の教科書には「香港は三権分立の原則が守られている」などと記載されてきました。
しかし先月、新しい教科書からこうした記述が削除されたことが明らかになったほか、教育行政のトップも三権分立を否定する記述を教科書に載せるよう指示しており、林鄭長官はこうした政府の立場をより鮮明にしました。
また、林鄭長官は「行政長官は香港政府とともに中央政府に対する責任も果たさなければならない」とも述べ、香港の三権分立を否定する立場の中国政府の意向を踏まえたた発言であることをにじませました。
中国が香港への統制を強めるなか、民主派の議員などは「三権が互いにけん制しあって統治してきた香港の歴史をくつがえす発言だ。中国政府が香港の統治を全面的に進めようとする動きに合わせた発言で、容認できない」などと強く反発しています。