[ニューヨーク 9日 ロイター] – 終盤のニューヨーク外為市場で、ドルは4週ぶり高値から下落。欧州中央銀行(ECB)が景気回復見通しに自信を深めているとの報道を受け、対ユーロで下落した。
米株が前日の急落から反発したことや、原油価格上昇でコモディティー(商品)通貨が上昇したことでリスク心理が改善し、安全資産とされるドルが圧迫された。
ただ一部アナリストは、ここ数カ月大幅下落したドルが最近の上昇を維持すると予想する。9月に入って、ドルは通貨バスケットに対して2%上昇している。
ブルームバーグ・ニュースはユーロ圏当局者の話として、ECBが10日に発表する生産とインフレ見通しは6月から小幅な変更にとどまる見込みで、今年の国内総生産(GDP)見通しは上方修正されると報じた。この報道でユーロが買われたという。
OANDAのシニア市場アナリスト、エドワード・モヤ氏は、「ユーロ圏の回復についてはなお楽観論が強いようだ」とし、「支援はさらに必要になるだろうが、状況は当初考えられていたほど悪くない」と述べた。
午後の取引で、ユーロは対ドルEUR=EBSで0.3%上昇して1.1805ドルとなり、ドル指数=USDは0.3%安の93.265となった。前日の序盤は93.664と、4週間ぶりの高値を付けていた。
スコシアバンクのチーフ為替ストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は、投機市場における極端なドル売りに触れ、ドルが年末にかけて対主要通貨で堅調さを維持すると予想。「主にポジショニングがユーロに対してかなり大きく傾いているため、ドルのサポートは十分とみられる」と語った。
ドルは対スイスフランCHF=EBSで0.5%安の0.9139スイスフラン。対円JPY=EBSでは0.2%高の106.20円。これに先立ち、円は新型コロナウイルスワクチンを巡るニュースを受けて上昇していた。
英製薬大手アストラゼネカAZN.Lは8日、オックスフォード大学と開発する新型コロナウイルスワクチンの臨床試験(治験)を世界的に中断したと発表した。大規模な後期治験も含まれる。被験者1人に、説明できない疾患が生じたためとしている。
英ポンドGBP=D3は、英政府がこの日、欧州連合(EU)離脱協定の一部の無効化につながる法案を提出したことを受け一時下落したが、EUが交渉を打ち切らないと伝わったことで持ち直し、終盤は0.1%高の1.2992ドルとなった。
豪ドルAUD=D3は0.7272米ドル、ニュージーランドドルNZD=D3は0.6669米ドルと、ともに0.8%上昇した。カナダドルCAD=D3は、中央銀行の金利据え置き決定後に対ドルで持ち直したが、終盤は0.6%安の1.3160カナダドルだった。
ドル/円
NY終値 106.17/106.20
始値 106.12
高値 106.27
安値 106.10
ユーロ/ドル
NY終値 1.1802/1.1804
始値 1.1753
高値 1.1833
安値 1.1754