[ニューヨーク 11日 ロイター] – 終盤のニューヨーク外為市場では、ユーロが対ドルで3日続伸した。欧州中央銀行(ECB)のユーロ高をけん制する動きが乏しかったことで、ユーロ買いが強まった。

ラガルド総裁は11日の会見で、ECBは「為替レートを目標にしているわけではない」と強調。2020年の成長見通しを引き上げるとともに、域内経済に対するハト派的な見方を後退させた。

また、関係筋によると、ECBは10日の理事会で、ユーロの上昇は経済ファンダメンタルズとおおむね整合的と判断し、ユーロ高を現時点では看過することで一致したという。

ただ、ECBの主任エコノミスト、レーン専務理事など複数のECB当局者はこの日、低インフレを巡る慢心やユーロ上昇に伴うリスクの高まりなどに警鐘を鳴らした。

6月中旬以降、ユーロは対ドルで6%超上昇している。

テンパスの為替トレーダー、フワン・ペレス氏は「ユーロが1.1750─1.1850ドル近辺で推移しても構わないという印象だ。1.1950ドルを付ければ、おそらく下げに転じるだろう」と指摘。「ECB当局者は概して、ユーロについて過剰反応しないようにしようと言っているようだ」と述べた。

午後の取引で、ユーロEUR=EBSは対ドルで0.2%高の1.1831ドル。ただ、週間では2週連続で下落した。前日には一時1.1917ドルと1週間ぶりの高値を付ける場面があった。

ドル指数=USDは小幅安の93.320。週間では2週連続で上昇した。ドル/円JPY=EBSは106.10円と小動きだった。

米労働省が11日発表した8月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.4%上昇と、市場予想の0.3%上昇を上回る伸びとなった。新型コロナウイルスの感染懸念から公共交通機関が敬遠されたことを背景に、中古車・トラック価格の伸びが51年超ぶりの大きさとなった。

一部のアナリストはドル高継続を予想している。新型コロナウイルス感染症ワクチンを巡る不確実性の高まりなどを背景に安全通貨への買いが続くとの見立てだ。

BofAセキュリティーズはリサーチノートで、「世界経済やワクチンに関する過度な楽観論、欧州より米国の方が新型コロナ感染が深刻という過度な悲観論などでコンセンサスが形成される可能性を懸念している」とした。

英ポンドは対ドルGBP=D3で0.1%安の1.2794ドル。また、対ユーロEURGBP=D3では92.90ペンスと、5カ月半ぶりの安値を付けた。ポンドは前日、対ユーロで約2%安と今年最大の下げとなっていた。

また、週間では対ドルで3月中旬以来の大幅な下げを記録した。英国と欧州連合(EU)の通商交渉混迷を受けた。

ドル/円 
 NY終値 106.14/106.1
   始値 106.18
   高値 106.20
   安値 106.07

ユーロ/ドル 
 NY終値 1.1845/1.184
   始値 1.1857
   高値 1.1865
   安値 1.1827