【ワシントン時事】ロイター通信は11日、短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」をめぐり、トランプ米大統領が指示した米国事業の売却命令に中国当局が猛反発していると伝えた。トランプ氏は15日の交渉期限を厳守するよう圧力をかけるが、譲歩を拒む中国側は米事業の閉鎖も辞さない姿勢を強めている。交渉の主導権争いが激化し、先行きは不透明な情勢だ。

TikTok売却「期限延長ない」 不成立なら禁止―トランプ氏がけん制

 ティックトックをめぐっては、米IT大手のマイクロソフトやオラクルなどが買収に名乗りを上げ、親会社の中国IT企業・字節跳動(バイトダンス)と交渉を進めている。だが、先月末に中国政府はハイテク技術の輸出規制強化を通じて介入。これを理由にバイトダンスは重要技術の売却を渋り、交渉が難航しているとされる。

 トランプ氏は10日、ティックトックについて「15日の期限を延長するつもりはない」として米事業の売却か閉鎖を迫った。ロイター通信は関係者の話として、中国政府が国内の弱腰批判をかわすため「強制売却よりは閉鎖を望んでいる」と報じた。取引を遅らせるため、技術の輸出に審査期間を設けた。

 11月の大統領選を控えるトランプ氏としては、ティックトックを通じた世論操作を防ぐ思惑から期限通りの決着を迫るが、唐突な閉鎖は米国の利用者の不満を招く恐れもある。一方、中国側は、トランプ氏の足元を見透かし、閉鎖をちらつかせて妥協を引き出す狙いがあるとみられる。