トランプ大統領

アメリカの著名ジャーナリストがトランプ大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長との間で交わされた親書の内容などをまとめたとする著書を出版し、北朝鮮の非核化の進め方をめぐって、両首脳の立場に大きな隔たりがあったことがうかがえます。

アメリカの著名ジャーナリストボブ・ウッドワード氏は、トランプ大統領との18回にわたるインタビューなどを本にまとめ、15日、日本で電子版が出版されました。

このうち、トランプ大統領とキム委員長との間で交わされた27通の親書の内容について詳しく記しています。

おととし6月の初めての米朝首脳会談のあと、トランプ大統領が7月3日付けの親書で専門家による北朝鮮のミサイル実験場の視察を求めたもののキム委員長は明確に答えず、その後、30日の親書で「期待していた朝鮮戦争の終戦宣言がなく残念だ」と話をそらしたということです。

これに対してトランプ大統領は8月2日の親書で、「完全な非核化の約束を進める時だ」と迫りましたが、キム委員長は、見返りを伴う段階的な非核化を主張して譲らなかったといいます。

さらに去年の2回目の首脳会談では、トランプ大統領が北朝鮮の核施設は5か所だとしてすべての廃棄を求めたことに対し、キム委員長は「ニョンビョン(寧辺)は最大だ」などと一部だけの廃棄を主張し、合意に至らなかったとしています。

両首脳は表舞台では良好な関係を強調してきましたが親書のやり取りからは非核化の進め方をめぐって、大きな隔たりがあったことがうかがえます。

このほか著書では、トランプ大統領が新型コロナウイルスの危険性を意図的に低く表現していたほか、極秘の兵器の開発を明らかにしたことなどが記され、大統領選挙が迫るなか波紋が広がっています。