【ロンドン=板東和正】英国のトラス国際貿易相は14日、英議会で、2021年の早い時期に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請する意向を示した。英国は日本と大筋合意した経済連携協定(EPA)を足掛かりにTPP加盟につなげ、さらなる経済成長を実現したい考えだ。
ロイター通信によると、トラス氏は14日、英議会で、「来年早々にTPP加盟を正式に申請できることを望んでいる」と表明。「(加盟によって)英国の輸出企業を急成長している地域に進出させられる」と説明した。
英政府は1月末の欧州連合(EU)離脱で独自の通商政策が可能になり、TPP加盟の可能性を模索。今月9日、同国の貿易担当幹部が日本など参加11カ国の首席交渉官と初めて協議したと発表するなど、加盟に向けた準備を進めている。
英国は今月11日、日本と経済連携協定(EPA)の締結で大筋合意。TPPを牽引する日本との大筋合意は「戦略的に英国のTPP加盟に向けた重要な一歩」(トラス氏)になるとみられている。
TPPには、英連邦に加盟するカナダ、オーストラリアなど英国と関係の深い国に加え、今後の経済成長が期待できる東南アジアの国々が参加しており、加盟は貿易のパートナーを多様化できる利点がある。英国の4~6月期の国内総生産(GDP)は世界主要国・地域の中で最も落ち込みが大きく、TPP加盟で経済を再建させたい考えだ。