[ワシントン 16日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は15─16日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0─0.25%に据え置くことを8対2で決定した。また、インフレ率が「当面、(2%目標を)緩やかに超える」軌道にあると判断するまで、低金利を維持する方針を示した。
FRBは先月公表した新戦略で2%を超えるインフレ率を容認。これを受け、今回のガイダンスは変更された。
パウエル議長はFOMC後の記者会見で、「米経済の回復が進むまで、政策金利を非常に緩和的な状態を維持する」のがFRBの意図だと指摘。声明については、経済活動を支え、インフレ率をより迅速に2%目標に回帰させる上で「非常に力強い」内容だとし、フォワードガイダンスは「持続性のある」ものになると語った。
また、米経済の回復は進行中だが、そのペースは鈍化することが予想され、FRBのほか、追加の財政支出による継続的な支援が必要とした。
FRBは声明で、金融市場の安定化から経済の活性化に軸足をシフト。現行の少なくとも月額1200億ドルの国債買い入れを継続するが、それは将来の「緩和的な」金融情勢を確保するための一環と説明した。
声明を受け、米国株は上げ幅を拡大。ただ、パウエル議長の発言を受け下げに転じ、S&P総合500種.SPXは0.1%安、ナスダック総合.IXICは0.8%安となった。米長期債利回りは上昇し、30年債利回りは1.44%、10年債利回りは0.68%で推移。ドルは主要通貨に対し小幅高となった。
<「甚大な」困難>
FRBは当面の米経済見通しを引き上げたものの、新型コロナウイルスの感染拡大が引き続き米経済の重しになると指摘。新型コロナは「甚大な人的・経済的困難を引き起こしている」とし、「FRBはこの困難な時期に米経済を支援するため、あらゆる措置を講じることを確約している」とした。
新たな金利・経済見通しでは、大半の当局者が、少なくとも2023年まで政策金利を維持すると想定。インフレ率が同期間で2%を上回ることはないとした。
パウエル議長は、FRBはインフレ率が2%を緩やかにオーバーシュートすることに「自信を持っており、コミットし、かつ決心している」と表明。ただ、それには時間がかかるとした。
今年の経済成長率見通しについては、マイナス3.7%と、6月予想時のマイナス6.5%から落ち込み幅を大幅に縮小した。失業率は年末で7.6%と8月の8.4%から低下する見通し。2023年の失業率は4%とした。
FRB当局者のドットチャートによると、1人を除く全員が22年までの金利据え置きを想定。4人が23年の利上げを予想した。
声明では、「労働市場が最大雇用と一致する水準に到達し、インフレ率が2%に上昇し、当面それを超える軌道にあると判断されるまで」現在の政策金利を維持すると想定。ただ、ダラス連銀のカプラン総裁とミネアポリス連銀のカシュカリ総裁がこれに反論した。
カプラン総裁は、インフレ率と雇用がFRBの目標達成に向けて軌道に乗れば、「柔軟性を高める」ことが好ましいと指摘。一方、カシュカリ総裁は、全体的なインフレ率より冷え込む傾向があるコアインフレ率が「持続的に」2%を達するまで金利を維持すべきと訴えた。