- 米国とユーロ圏は小幅な落ち込みへ、中国はG20で唯一プラス成長へ
- 今年の日本経済は5.8%縮小へ-金融・財政政策の支援継続必要
経済協力開発機構(OECD)は16日、2020年の世界経済が従来の予想ほど急激に落ち込まない見通しを示した。新型コロナウイルス感染対策のロックダウン(都市封鎖)の終了後に経済活動が持ち直したのを受け、20年の予測を上方修正した。
OECDによると、今年の世界経済はマイナス4.5%成長となり、6月時点の予測のマイナス6%成長より小幅な落ち込みとなる見込み。米国とユーロ圏の見通しも大幅に上方修正された。中国経済についてはプラス成長を予想し、今年の20カ国・地域(G20)諸国経済で唯一縮小を見込んでいない。
Contracting World Economy
Source: Organization for Economic Cooperation and Development
20年の見通し改善は、ここ数カ月の力強い景気回復を反映している。米労働市場は8月に予想より好調で、15日発表された中国の小売売上高と工業生産の統計も堅調だった。
OECDは一方で、前例のない景気の落ち込みから完全に回復するには時間がかかると警告。多くの国・地域経済が21年末まではコロナ危機前の水準を下回り続けると予想し、経済への長期的ダメージや経営破綻、失業のリスクにも言及した。
さらに、政府や中央銀行は今年の大規模な取り組みでバランスシートを膨張させ予算を拡大しているが、21年も景気支援策を継続する必要があると指摘した。その上で、景気回復に伴い、将来性のある産業やセクターに目標をうまく定めた形に支援プログラムを進化させる必要があると付け加えた。
Drastic Revisions
Source: Organization for Economic Cooperation and Development
OECDは米経済予測をマイナス3.8%成長(6月時点はマイナス7.3%成長)に、ユーロ圏はマイナス7.9%成長(同マイナス9.1%成長)にそれぞれ上方修正した。
日本については、20年をマイナス5.8%成長(同マイナス6%成長)に引き上げた一方、21年はプラス1.5%成長(同プラス2.1%成長)に下方修正した。
OECDは見通しには多大な不確実性が残るとしており、最新予測は散発的なコロナ感染の継続と的を絞った地元当局の介入を想定していると説明した。これに対し6月の予測は、感染第2波のない「1回の衝撃」のシナリオに基づいていた。
一部の新興国経済の予測は大幅に下方修正した。今年のインド経済は10.2%縮小と、従来予測の約3倍の落ち込みを見込んだ。アルゼンチンやメキシコ、南アフリカ共和国についても6月の予測より大幅な悪化を予想した。
原題:World Economic Slump Won’t Be as Sharp as OECD Previously Feared
OECD September 2020 Interim Economic Outlook: Summary (Table)(抜粋)