来夏に延期された東京オリンピック(五輪)・パラリンピックで、国際オリンピック委員会(IOC)と大会組織委員会が進める簡素化の費用削減効果が数百億円となる見通しとなった。複数の大会関係者が明らかにした。
大会予算は昨年末の最新版で1兆3500億円で、延期による追加費用が数千億円かかる見込み。一方、関係者によると、現時点で積み上げた削減額は200億円程度。最終的な額を公表予定の10月上旬のIOC理事会に向けさらに調整中だが、競技数や参加選手数などは簡素化の対象外だったうえ、すでに大半の契約を済ませており、削減額の大幅増は難しいという。
関係者によると、見直し項目は当初約250あったが、IOCとの協議を経て、関係者が使用する家具・備品の数や、飲食の提供数の見直しなど52に絞られた。会場に仮設するプレハブや会場内外の装飾を1~3割程度減らす方向で調整。IOC総会開会式でのセレモニーも取りやめ、来日する国際競技団体の役員の数も減らす。これらの削減効果が200億円程度になる見通しだ。
一方、五輪33、パラ22の実施競技数や五輪・パラで計約1万5千の選手数、日程や会場などは従来の計画通り。経費削減の象徴になるとして、新型コロナウイルスの感染拡大防止の面からも組織委が検討していた聖火リレーの日程短縮は、自治体などが難色を示したため、121日間の日程を維持する方向となった。隊列の車両を数十台減らすなどで費用削減を図る。また、開閉会式の時間短縮も放送局が難色を示しているといい、演出見直しにとどまる見込みという。
さらに、新型コロナ対策のために見送られた削減策もある。東京・晴海の選手村の開村期間を2日間短縮する案は「入村手続きなどで選手が密になり、新型コロナの感染リスクが高まる」との声があり、現状維持の方向だ。今後の感染状況次第で、削減策がさらに変わる可能性もあるという。(岡戸佑樹、斉藤佑介、前田大輔)