【ワシントン時事】米連邦最高裁でリベラル派の代表格だったルース・ギンズバーグ判事が18日、死去した。これにより、後任判事の指名が11月の大統領選で大きな争点として浮上した。トランプ大統領は近く指名する見通しだが、来年1月に満了する任期中の後任補充には、最高裁の保守化を懸念する野党民主党の抵抗が必至。人事承認権を持つ上院を舞台に、大統領選と連動する形で与野党が攻防を繰り広げることになる。
トランプ氏は19日、後任人事に関し「遅滞なく進める責務がある」とツイッターに投稿。与党共和党のマコネル上院院内総務は声明で「トランプ大統領の指名候補が、上院で承認採決に臨むことになる」と表明した。トランプ氏は今月9日、最高裁判事に欠員が生じた場合に後任として指名する候補20人を公表。保守派の判事を送り込む決意を改めて明確にしている。
これに対し民主党候補のバイデン前副大統領は、記者団に「(11月に)選ばれた(次期)大統領が後任を指名すべきなのは明確だ」と指摘。新しい大統領が候補を指名し、大統領選と同時に一部議員が改選される上院で承認審議を進めなければならないと訴えた。
米公共ラジオ(NPR)によると、ギンズバーグ氏は死の直前、孫娘に「私の最も強い願いは、新しい大統領の就任まで交代させられないことだ」という言葉を残していた。
トランプ政権下では、いずれも保守派の最高裁判事2人が就任した。このうち2017年4月に就任したニール・ゴーサッチ判事は、オバマ政権当時の16年2月に死去した保守派判事の後任。オバマ前大統領は別の中間派判事を後任に指名したが、共和党が「次期政権まで待つべきだ」と主張して審議を拒否し、断念した経緯がある。
2人目のブレット・カバノー判事は、引退した中間派判事の後任。この人事によって判事の過半数に当たる5人を保守派が占めた。ギンズバーグ氏の後任に保守派が就けば、保守化が一層鮮明になり、長期にわたって最高裁の判断に影響を及ぼすとみられる。
米国の保守派には、人工妊娠中絶や同性婚を認めた最高裁判決の見直しを求める声が強い。支持率調査で劣勢のトランプ氏は、後任判事の指名を通じて保守的な有権者に広くアピールする考え。一方のバイデン氏は8月の全国党大会で、リベラル派の最高裁判事を指名すると公約している。