領土問題をめぐってこれまでも紛争が続いてきた旧ソビエトのアゼルバイジャンとアルメニアの間で27日、戦闘が起きて死傷者が出るなど緊張が再び高まっています。ロシアとEU=ヨーロッパ連合が双方に自制を求めるなど、懸念が広がっています。

旧ソビエトのアゼルバイジャンとアルメニアは、アゼルバイジャン領でアルメニア系住民が多いナゴルノカラバフ自治州の帰属を巡って争っていて、1994年に停戦合意したあとも紛争が続いています。

ロシアの通信社などによりますと、27日、ナゴルノカラバフ自治州の周辺で双方の間で戦闘が起きて、住民を含めて死傷者が出ているということです。

アゼルバイジャンのアリエフ大統領は「アルメニア側がわれわれの軍事施設などに砲撃を始めた」と述べたのに対して、アルメニアのパシニャン首相は「アゼルバイジャン側が大がかりな挑発を行ってきた。これはわれわれに対する宣戦布告だ」と非難し、戒厳令を出すとともに国民総動員でこの事態にあたるよう求めました。

両国の緊張が再び高まっている事態を受けて、ロシアのラブロフ外相は両国の外相と電話会談を行い、情勢を安定させるため双方が協議を始めるよう求めたほか、EU=ヨーロッパ連合も、外交を担当するボレル上級代表が即時停戦を求める声明を発表するなど、状況が悪化することへの懸念が広がっています。