- 郵送投票は新しい経験であり6月予備選では集計に数週間かかった
- 開票結果への異議申し立てを州法が認めているため確定が遅れる恐れ
11月3日の米大統領選の翌朝のことだ。重要州ペンシルベニア州で数十万の郵送票の集計に数日を要する見通しとなり、開票結果を巡り両陣営の法律専門家が法廷闘争さえ準備する中で、世界は誰が当選したか分からない。
これは大接戦の末、トランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領のどちらが全米選挙人の過半数(270人)を獲得するか、一つの州の開票結果で決まるケースで想定される最悪の選挙シナリオだ。
2000年にはフロリダ州の600未満の票差が勝負を分けるところまで行き着いた。選挙管理と選挙法の専門家によれば、新型コロナウイルス感染拡大の影響で過去最も多くの郵送票が見込まれる今年は、諸要因が重なることからペンシルベニア州が選挙後のメルトダウンに陥る危険性が恐らく最も高い。
ペンシルベニア州にとって郵送投票は新しい経験であり、6月2日の予備選では集計に数週間かかった。郡は選挙当日まで票の処理を開始できず、夜までに集計が終わらないのはほぼ確実だ。16年の大統領選ではわずか4万4292票差で選挙人獲得の行方が決まった。
さらに州法が開票結果に対する異議申し立てを認めているため、結果の確定が遅れる危険が増す。
選挙法と投票の問題に取り組むペンシルベニア州フィラデルフィアの無党派市民組織「コミッティー・オブ・セブンティ」のポリシーディレクター、パトリック・クリスマス氏は「全米と全世界から顕微鏡でのぞくように観察される状況に備えて全員身構えているところだ」と話した。
原題:Worst-Case Election Scenario Is Meltdown in Key State’s Counting(抜粋)