- ドコモのADRは一時29%高、日経の報道受け
- グループ一体となって5GやIoTへの投資が狙いー報道
NTTは上場子会社のNTTドコモを完全子会社にすると、日本経済新聞が28日に電子版で報じた。一般株主が持つ3割強の株式を株式公開買い付け(TOB)で取得するという。
日経の報道によると、グループ一体で次世代通信規格「5G」やIoTに投資して世界での成長につなげるほか、携帯電話料金の値下げを見据えた経営効率化が狙いだという。完全子会社化が報じられると、ドコモの米国預託証券(ADR)は一時前週末比29%高となった。
ブルームバーグのデータによると、NTTは現在ドコモ株の66.21%を保有。残りの約34%を28日のドコモの株価終値2775円に30%のプレミアムを上乗せした金額で取得すると、買収規模は約4兆円となる。NTTの筆頭株主は財務省で3月31日時点で34.69%を保有している。
菅義偉首相は大幅な引き下げを実現した諸外国の例を参考に官房長官時代から携帯電話料金の引き下げの早期実現を目指しており、18日には武田良太総務相に引き下げを指示した。前首相が8月に辞意を表明し、後任として菅氏が有力候補として取り沙汰されたのに合わせてドコモの株価は下げ足を強め、9月18日には約1年ぶりの安値水準を付けていた。
ドコモはNTTの屋台骨を支える収益の柱となっており、4-6月期には営業利益の56%を稼いだ。完全子会社化することで、貢献の割合をさらに引き上げることができる。
NTTの広報担当はコメントを控えた。NTTドコモの吉松沙織広報担当も、報じられた内容は当社が発表したものではないとし回答を控えた。