「日本学術会議」の新たな会員候補の一部の任命が見送られたことをめぐり、自民党と立憲民主党の国会対策委員長が会談し、立憲民主党が7日からの国会の閉会中審査で加藤官房長官らが出席し、任命の見送りの理由などを説明するよう求めたのに対し、自民党は持ち帰って検討する考えを伝えました。
「日本学術会議」の新たな会員候補の一部の任命を菅総理大臣が見送ったことをめぐり、立憲民主党、共産党、国民民主党、社民党の野党4党の国会対策委員長は、5日、国会内で会談し、今後の対応を協議しました。
その結果、今回の任命の見送りは、学問の自由を侵すもので看過できないとして、7日から2日間開かれる衆参両院の内閣委員会の閉会中審査に加藤官房長官や井上科学技術担当大臣が出席し、任命の見送りの理由や経緯などを説明するよう求めていくことで一致しました。
このあと、立憲民主党の安住国会対策委員長は、自民党の森山国会対策委員長と会談し、こうした野党側の要求を伝えました。
これに対し、森山氏は、持ち帰って検討する考えを伝え、引き続き協議することになりました。
自民 森山国対委員長「関心非常に高い問題」
自民党の森山国会対策委員長は、記者団に対し、「新型コロナウイルス対応のために予定していた閉会中審査だが、日本学術会議の会員の選考のあり方にはいろいろ意見があるので、安住氏には『しかるべき対応ができないか検討したい』と伝えた。関心も非常に高い問題なので、責任のある人が答弁してもらえるよう配慮が必要だ」と述べました。
立民 安住国対委員長「責任ある立場の人答えなければならない」
立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し、「『学問の世界の国会』とも言われている『日本学術会議』の会員は、政治的な意図をもって選任されるべきではないし、そうしないということがある意味、戦後の日本のきょうじだった。それを今回、外すという挙に及んだのは菅総理大臣であり、なぜそれに至ったのか、菅内閣の責任ある立場の人が答えなければならない」と述べました。
官房長官「決められたことに対してはしっかり政府として対応」
加藤官房長官は、5日午前の記者会見で、日本学術会議について、科学の向上、発達を図り、行政、産業および国民生活に科学を反映、浸透させることを目的に設置され、内閣総理大臣の所轄のもとの国の行政機関として、毎年10億円の予算が支出されていると説明しました。
そのうえで、会員は、内閣総理大臣が任命する特別公務員で、会員の選定のあり方も累次、改正がなされたと指摘しました。
また、記者団が日本学術会議のあり方を検討する考えはないかと質問したのに対し、「昨今は、総合的、ふかん的な活動が大事だというという指摘を受けている。そうした経緯もしっかり踏まえて、必要なコミュニケーションを図っていきたい」と述べました。
一方、加藤官房長官は、記者団が、国会の場でみずから説明する意向があるか質問したのに対し、「国会の中での対応であり、自民・立憲民主両党の国会対策委員長や、国会の場で決めることだと思う。決められたことに対しては、しっかりと政府として対応していきたい」と述べました。