【ソウル時事】北朝鮮の朝鮮中央テレビは10日、朝鮮労働党創建75周年を祝賀し、平壌の金日成広場で同日午前0時(日本時間同)から行われた大規模な軍事パレードの様子を放送した。金正恩朝鮮労働党委員長は軍事パレードを閲兵し、演説では「自衛的手段として戦争抑止力を引き続き強化していく」と強調。新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)も登場し、米国を強くけん制した。
パレードには、片側11輪の移動式発射台(TEL)に載せられた新型ICBMが初めて登場。新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)も初公開した。いずれも詳細は不明だが、新型ICBMは北朝鮮が米本土を射程に収めると主張するICBM「火星15」より大型化し、複数の弾頭が装備可能な「多弾頭型」の可能性もある。
灰色のスーツ姿で登場した正恩氏は演説で、米国を名指しで批判しなかった。ただ、北朝鮮への軍事力行使には「最も強力な攻撃力を先制的に総動員する」と述べた。核・ミサイル開発を継続する姿勢を強調した。
一方、制裁の長期化や新型コロナウイルス、台風被害の「三重苦」に苦しむ住民生活への配慮も強く打ち出した。正恩氏は防疫対策や災害復旧に取り組む軍の兵士らに時折涙を浮かべながら感謝の意を表明。国内のコロナ感染者が1人もいないことを強調した。
また、コロナを早期に克服し、「北と南が再び手を取り合う日が訪れることを願う」と述べ、韓国との関係改善への意欲を示した。
軍事パレードの開催は建国70周年の2018年9月以来。金正恩体制下では軍事パレードは主に午前10時から同11時に行われており、未明の開催は異例だ。
放送では、平壌の主体思想塔や高層ビルがライトアップされた様子をドローンなどで撮影したとみられる映像が流された。金日成広場は照明で明るく照らされ、正恩氏が登場すると花火が打ち上げられた。