【ソウル時事】北朝鮮が10日の軍事パレードで公開した新型とみられる大陸間弾道ミサイル(ICBM)をめぐり、その際立った大きさに関心が集まっている。米専門家は新型が「世界最大の移動式ICBM」で北朝鮮が「多弾頭化」を図っていると指摘。韓国研究機関は模型ではなく実物の可能性があるという見方を示した。
米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」は10日、新型ICBMに関する分析を公表した。それによると、新型は推定全長約25メートルで、直径は約2.5メートル。北朝鮮が2017年11月に発射し、米本土を射程に収めるとされるICBM「火星15」をそれぞれ4メートル、0.5メートルほど上回った。
また、移動式発射台(TEL)は片側11輪と火星15の9輪から増加。弾頭重量は推定最大3.5トンと火星15の1トンを大幅に超える。打ち上げ時の重量は100~150トンとみられ、80トンとされる中国のICBM「東風41」に比べ、その大きさが際立つ。
通常は軽量化が求められるICBMの大型化を図るのはなぜか。38ノースは北朝鮮が「マーブ(MIRV)開発に取り組んでいるとみられる」と指摘する。
マーブは複数の弾頭で別々の目標を攻撃する技術で、米国のミサイル防衛網突破に有効だ。だが、北朝鮮は弾頭を十分に小型化できておらず、高重量を運搬することができるICBMが必要になった可能性がある。
一方、韓国情報機関、国家情報院傘下の国家安保戦略研究院も11日、軍事パレードの分析を公表。金正恩朝鮮労働党委員長が昨年末の党中央委員会総会で「世界は遠からず新たな戦略兵器を目撃するだろう」と宣言していたことから、「政治的誇示」を目的に新型を公開したとみている。
北朝鮮は最近、核・ミサイル開発を主導してきた党中央軍事委員会の李炳哲副委員長に元帥の軍事称号を授与。パレードでも正恩氏の横に並び立っており、李氏の実績が認められたとみられる。このため、研究院は新型ICBMは「実物の可能性がある」と主張した。