立憲民主など野党4党は12日、菅義偉首相が日本学術会議から推薦された新会員候補6人を任命しなかった問題を巡り、内閣府の学術会議事務局などへのヒアリングを東京都内で実施した。任命拒否した6人を含む105人の推薦者名簿を首相が「見ていない」と述べたことに対し、野党議員は「見ていないなら、推薦に基づいて新会員を任命したと言えない。違法だ」と批判した。
内閣府の担当者は「(会員任命の)起案決裁文書には99人の任命者リストと、日本学術会議の105人の推薦者リストがある」と説明し、両方の名簿を首相に提出したことを明らかにした。「事務方から説明があった中で、105人のリストを見ていないことはあり得るのか」との質問には「細かい決裁過程は説明を控えたい」と述べるにとどめた。
立憲の山井和則元厚生労働政務官は「首相が推薦者105人が誰かを知らなかったら、『推薦に基づいて任命する』という日本学術会議法に違反する」と指摘した。内閣府は「首相が決裁するまでの過程で、推薦者105人のうち99人を任命すると説明している。違法性があるとは考えていない」と述べ、問題はないとの見解を示した。
立憲の黒岩宇洋元法務政務官は「法律上、推薦者リストは当然首相が見るべきだ。見なかった真意は首相しか分からない。予算委員会などで首相に明確な説明を求めていく」と述べ、26日召集の臨時国会でただす考えを示した。【宮原健太】