日本経済新聞 電子版
トランプ氏はファウチ氏を「最悪だ」と批判した=AP
【ワシントン=共同】トランプ米大統領は19日、新型コロナウイルスの政権対策チームの一員で、感染防止策の徹底を呼び掛け国民の人気が高いファウチ国立アレルギー感染症研究所長を「大惨事」だと攻撃し「国民はファウチらあほ全員の話にうんざりしている」と述べた。約2週間後に迫る大統領選の陣営スタッフとの電話会合で発言した内容を米メディアが伝えた。
選挙戦最終盤を劣勢で迎えたトランプ氏は、逆転を目指し各州で大規模集会を開いて熱気の演出に躍起となっている。新型コロナ感染を広げかねないとの批判を無視して、19日も激戦の西部アリゾナ州で多くの人が密集する集会を強行した。
トランプ氏は電話会合で、ファウチ氏がテレビに出るたび自分に不都合な情報を出し「爆弾を投じる」として不満をあらわにした。ただファウチ氏は国民からの信頼が厚く「解任すればもっと大きな爆弾になる」とジレンマもにじませた。
ファウチ氏は18日放送のCBSテレビの看板報道番組「60ミニッツ」で、トランプ氏の新型コロナ感染に「全く驚かなかった」と強調。感染場所の可能性がある9月下旬のホワイトハウスでの最高裁判事指名イベントについて「人との距離がなく密状態の中に、マスクを着けずにいた彼を見て心配した」と話した。同時に、政権からメディア取材に応じることをたびたび「許可されなかった」とも明らかにした。
民主党候補バイデン前副大統領は19日、地元の東部デラウェア州で「60ミニッツ」の25日放送分のインタビュー収録をこなした。
米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長(ロイター)