【ワシントン時事】来月3日の米大統領選まで20日で残り2週間。新型コロナウイルスの感染拡大で開票に時間がかかる郵便投票が急増し、接戦となれば勝者確定が数日から数週間後になる可能性が現実味を帯びてきた。米メディアには、開票当初予想される共和党「優勢」の機を捉え、トランプ大統領が早々と勝利宣言するのではという警戒も広がっている。
トランプ氏、激戦州で後退 討論妨害とコロナ感染響く―残り3週、「復活」アピール
米フロリダ大の調査によると、郵便などで既に投票を済ませた人は18日現在約2800万人で、前回大統領選の全投票者の約2割に上る。
郵便投票は民主党支持者の割合が多い。一方の共和党は通常の対面投票を呼び掛けているため当初は優勢に見えるが、郵便票の集計が進むにつれて民主党が増えていくと想定される。調査会社ホークフィッシュは「トランプ氏のリードは数日後には蜃気楼(しんきろう)だったことが分かる」と指摘する。
同社のモデルでは、開票日に57対43でトランプ氏有利に出ても、最終的に民主党候補のバイデン前副大統領が全国得票で8ポイント上回る。
トランプ氏自身、これまで郵便投票を不正の温床と決めつけて法廷闘争に持ち込む考えを示唆。ツイッターで「選挙結果は当日分からなければならない」と述べたこともある。元側近のバノン元首席戦略官は最近の講演で「トランプ氏は3日の夜に『ゲームは終わった』と宣言する」と予測した。
米テレビ各局は、特定候補の一方的な勝利宣言については、その事実を伝えつつ、根拠がないことを明確にする方針。CNNテレビの選挙報道担当者は、ロイター通信に「重要なのは開票結果が何を示すかについて透明性を高めることだ」と語り、郵便投票の開票状況などについて説明を尽くす考えを示す。
2016年大統領選で「偽情報」に対して後手に回ったと批判されたインターネット交流サイト(SNS)も、対策に乗り出す。ツイッターは、主要報道機関の当選確実がない段階で候補者が勝利宣言した場合、警告のラベルを貼り、暴力や選挙干渉を呼び掛けるツイートは削除すると表明。フェイスブックも同様の対策を打ち出した。