北欧フィンランドのサンナ・マリン首相(34)が、胸の谷間がうっすら見えるジャケット姿で雑誌に登場したことが、思わぬ波紋を広げている。一部のソーシャルメディアで「下品」「不適切」と批判される一方、男性政治家は半裸でも同様の批判が起きないため、「女性差別だ」と指摘する声もある。

 昨年末に就任したマリン氏は、同国史上最年少の首相として注目された。今月同国で発売されたファッション誌のインタビューで「ロールモデル」として取り上げられ、黒のスーツ姿で登場。素肌にジャケットを羽織ったとみられ、凝ったデザインのネックレスの下に、胸の谷間がうっすら見える。ソーシャルメディアでは一部の人が「安っぽい」「信頼を落とす」「目立ちたがり屋」などとかみついた。

 これに反発した人たちは、マリン氏と同様の格好をした自分の写真をハッシュタグ「#サンナとともに」をつけてインスタグラムに投稿。支持の輪は広がり、ラトビアの福祉相は「政治であれ他の仕事であれ、女性も男性も、見た目でなく実績で評価されるべきだ」と投稿した。

 騒動は国外メディアでも注目された。マリン氏の格好は、上半身裸で釣りをしたり馬に乗ったりするロシアのプーチン大統領や、花柄の赤い短パン姿で真冬にジョギングするジョンソン英首相らに比べれば、大して過激でも奇抜でもない。プーチン氏らの格好が政治家としての能力と関連づけて論じられることがないことなどから、英メディアでは「政治家に公職に合った格好を期待することは問題ないが、男性の半裸やだらしない姿に私たちは肩をすくめて笑うだけなのに、女性にはより高い水準を求める」(テレグラフ紙の女性コラムニスト)、「服の下が裸なことくらいで物議を醸すのはおかしい。私もパンツの下は裸だ」(タイムズ紙の男性評論家)などと取り上げられている。(ロンドン=下司佳代子)