アメリカ大統領選挙は最後のテレビ討論会を終え、選挙戦は最終盤に入りました。世論調査の支持率で先行されるトランプ大統領が連日みずから各地を回って巻き返しに向け支持を訴える一方、政権奪還を目指す民主党のバイデン前副大統領は根強い人気があるオバマ前大統領らの応援も得て支持を固めようとしています。
来月3日のアメリカ大統領選挙に向けた最後のテレビ討論会が22日、南部テネシー州で行われ、非難の応酬で混乱した最初の討論会とは異なり、双方が相手の発言を遮ることもほとんどなく、自身の政策や考えを主張し論戦を交わしました。
討論会について複数の専門家は、世論調査の支持率でバイデン氏が先行する情勢を大きく変えるものではなかったなどと評価しています。
このうち、大統領選挙に詳しいジョージ・ワシントン大学のノードリンガー教授はNHKのインタビューに対し「今後の焦点は、激戦州で、まだ投票先を決めていないごくわずかの有権者の動向だ」と指摘しました。
討論会を終えて選挙戦は最終盤に入り、トランプ大統領は23日に激戦州のフロリダ州で、また、この土日には同じく激戦州のノースカロライナ州など4つの州で集会を開き巻き返しに向け支持を訴えることにしています。
一方、バイデン氏は、23日、自身の地元デラウェア州で新型コロナウイルス対策について演説を行い、「国民を守るために仕事をする大統領が必要だ」と述べ、政権交代の実現を訴えました。
また、24日には根強い人気があるオバマ前大統領やサンダース上院議員がそれぞれ激戦州で演説し、盛り上がりに欠けるとも指摘される運動に勢いをつけ、支持を固めようとしています。
大統領選挙まで10日余りとなるなか、両陣営ともに運動を加速させています。
全米世論調査はバイデン氏リード
アメリカの政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によりますと、全米を対象にした世論調査の支持率の平均値は、23日時点で、
▽バイデン氏が50.7%、
▽トランプ大統領が42.8%と、
バイデン氏が7.9ポイントリードしています。
米専門家「激戦州で投票先を決めていない有権者の動向 焦点」
アメリカ大統領選挙のテレビ討論会について、大統領選挙に詳しいジョージ・ワシントン大学のゲーリー・ノードリンガー教授は「両候補とも前回よりずっとうまくふるまい、間違いも犯さなかった。トランプ大統領は、バイデン氏の次男のウクライナ企業との取り引きを取り上げたのに対しバイデン氏はトランプ大統領が税金を適切に納めていないと攻め、有権者の期待に応えた」と述べ両候補とも自分に投票を検討している有権者にアピールできたと評価しました。
そのうえで今後の選挙戦について、ノードリンガー教授は「トランプ大統領の支持者には今まで見たことがないような熱意があるので、トランプ大統領が勝っても4年前ほどの驚きではない。大統領を支持する有権者は、世論調査では支持していると認めない傾向があるので、『投票先を決めていない』と答えた人なら、トランプ大統領に投票する可能性が大いにある。トランプ大統領が勝つ可能性はまだある」と述べ、世論調査の支持率でリードされるトランプ大統領が巻き返す可能性はあると指摘しました。
その一方で、バイデン氏については、「討論会で明確に答えなかったり、うろたえているように見えたりしたこともあり、高齢過ぎるという印象が強まったかもしれない。バイデン氏は有権者の熱意を高めるよう努め、投票を呼びかけていくことになるだろう」と指摘しました。
そして、「焦点は、激戦州で、まだ投票先を決めていないごくわずかの有権者だ。バイデン氏はペンシルベニア州やノースカロライナ州、フロリダ州で大幅なリードがあるわけではない」と指摘し、まだ投票先を決めていない人たちの票の行方が勝敗を左右するという考えを示しました。