• 2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロ-温暖化対策
  • 世界の金融センター目指し、税制や英語対応など早急に検討進める

菅義偉首相は26日午後の衆院本会議で所信表明演説を行い、「経済と環境の好循環」を成長戦略の柱に掲げ、グリーン社会の実現に注力する考えを表明した。

  地球温暖化対策として2050年までに温室効果ガスの排出を「全体としてゼロにする」と話し、脱炭素社会の実現を目指すと宣言した。積極的に温暖化対策を行うことが産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要だとの考えを示した。

Japan's Diet Reopens as Prime Minister Suga Pledges Carbon Neutral Japan by 2050 in Policy Speech
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  携帯料金引き下げやデジタル化など規制改革を進める方針を示してきた菅首相だが、日本学術会議の任命問題では批判も出ている。衆院議員の任期満了まで1年を切る中、臨時国会では野党側との初めての論戦に臨む。日本経済新聞社とテレビ東京が23-25日に実施した世論調査によると、内閣支持率は発足時に行った前回調査から11ポイント下落し、63%だった。

温暖化対策
・次世代太陽電池などの実用化を見据えた研究開発を加速度的に促進
・規制改革などの政策を総動員し、グリーン投資のさらなる普及を進める
・脱炭素社会に向け、国と地方で検討を行う新たな場を創設
・石炭火力発電に対する政策を抜本的に転換

  所信表明演説では経済政策について、「今後もアベノミクスを継承し、さらなる改革を進める」と改めて訴えた。新型コロナウイルス禍でも「マーケットは安定した動きを見せている」と安倍晋三政権の成果を強調。今後も内外の経済動向を注視しながら、躊躇(ちゅうちょ)なく必要な対策を講じていくと話した。

  海外の金融人材を受け入れ、アジア、さらには世界の金融センターを目指すと語った。そのための税制、行政サービスの英語対応、在留資格の緩和について早急に検討を進める意向を示した。

  地方への人の流れをつくる方策として、大企業で経験を積んだ人々を政府のファンドを通じて、地域の中堅・中小企業の経営人材として紹介する取り組みをまずは銀行を対象に年内に始めると語った。

そのほかの演説のポイント
・来年3月から保険証とマイナンバーカードの一体化、運転免許証のデジタル化も進める
・当面の観光需要回復の政策プランを年内に策定
・女性、外国人、中途採用者の登用促進など、コーポレートガバナンス改革を進める
・来年の夏、人類がウイルスに勝った証しとして東京五輪・パラリンピックを開催する決意
・携帯電話料金引き下げなど、できるものからすぐに着手し、結果を出す
・外交政策日米同盟の抑止力を維持しつつ、沖縄の基地負担軽減に取り組む
・中国との安定した関係は極めて重要、主張すべき点は主張し、共通の諸課題について連携
・健全な日韓関係に戻すべく、適切な対応を強く求めていく