米国がパンデミック(感染症の大流行)や、破壊的な天候、人種間の緊張に悩まされる中、環境、社会、ガバナンス(ESG)をテーマにした上場投資信託(ETF)に今年、記録的資金が流入した。

  しかし、良心的な投資を目指すならば、ETFのラベルばかりでなく中身に注目した方がよいかもしれない。

  ブルームバーグがまとめたデータによれば、ESG・ETFへの今年これまでの資金流入は220億ドル(約2兆3000億円)と、すでに2019年通年の額の約3倍に達している。

  しかし、ESGというラベルは米規制当局の監視を受けているわけではなく、ESGファンドの保有銘柄をどう評価すべきかの共通認識もない。この結果、驚くような銘柄をESGファンドが保有しているケースもある。

  ブラックロックのiシェアーズESGアウェアMSCI・USA・ETF(ESGU)は石油会社のエクソンモービルとシェブロンの株式を保有している。最大の保有銘柄は反トラスト法違反の疑いで調査を受けているテクノロジー企業だ。エクストラッカーズMSCI・USA・ESGリーダーズ・エクイティーETF(USSG)は従業員の待遇が問題視されているマクドナルドの株式を保有している。

ESG ETF assets have more than doubled so far this year 

  ブルームバーグ・インテリジェンスのETFアナリスト、エリック・バルシュナス氏は「意識の高いポートフォリオにしようと考えて投資した人はこうした銘柄を見て、『何を買ってしまったんだろう』と思うだろう」と述べた。

  ESGUとiシェアーズESGアウェアMSCI・EM・ETF(ESGE)、iシェアーズESGアウェアMSCI・EAFE・ETF(ESGD)の3本のブラックロックのETFがESGファンド市場を支配しており資産全体の半分以上を占める。3本への年初来流入高は約134億ドル。

  ブラックロックはMSCIとともにファンドに含める銘柄、除外する銘柄の規則を決めている。保有銘柄のESGリスクと機会に基づいてファンドを格付けするMSCIはESGUとESGDを「AA」、ESGEを「A」としている。

Note: Totals are for full year; 2020 is year-to-date 

原題:Record Flows Pour Into ESG Funds as Their ‘Wokeness’ Is Debated(抜粋)