中国人民銀行(中央銀行)が人民元の日々の中心レート(基準値)を設定する際に用いていた主要ファクターを、中国の一部の銀行が計算式に含めるのを取りやめた。この動きは人民元相場への重しとなる可能性がある。
CFETS(中国外国為替取引システム)のウェブサイトに掲載された声明によれば、一部銀行が最近、逆周期因子(カウンターシクリカルファクター)と呼ばれる要素の使用をやめた。同ファクターは各行が基準値のクオートを算出する上で利用する一要素で、人民銀は毎朝、各行からその報告を受けて最終的な中心レートを設定する。中国本土で取引される人民元の1日当たり対ドル許容変動幅は、中心レートの上下2%に制限されている。
ロイター通信は先に、クオートを報告する14行の一部に対し、人民銀が計算モデルの調整を要請したと、事情に詳しい関係者を引用して伝えていた。この報道の後、オフショア人民元は一時0.3%下落し、1ドル=6.7234元をつけた。
中心レート算出方法の変更により、人民元相場に対する中国当局の影響力は実質的に幾分減じられることになる。算出に逆周期因子を用いている間、各行には元安方向のクオートを人民銀に報告し、スポット市場で人民元を下落方向に誘導する余地がより多くあった。
逆周期因子は2017年5月、人民元安と資本流出を抑えるために導入された。元相場が持ち直したことを受けて18年1月に停止。米中関係が悪化する中で、その7カ月後に再び取り入れられていた。
人民銀にクオートを報告する14行は自行での算出時に、逆周期因子のほか、人民元の前営業日終値や他の主要為替レートの動きを通常考慮に入れている。
原題:China Banks Adjust Models for Yuan Fixing After Rapid Rally(抜粋)