【ロンドン時事】世界貿易機関(WTO)の空席となっている事務局長をめぐり、ナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相の選出が有力となった。ロイター通信が28日報じた。ただ、加盟する164カ国・地域の多くが支持を表明したが、米国が反対しており、最終決定には至っていないという。最終選考に進んだ韓国の候補は落選が濃厚だ。
オコンジョイウェアラ氏はナイジェリアの財務相や外相、世界銀行の副総裁などを務めた。WTOの25年の歴史でアフリカはトップを輩出しておらず、選出機運が高まっている。
アフリカの55カ国・地域で構成するアフリカ連合(AU)は最終選考を前に、オコンジョイウェアラ氏への支持を表明。「この困難な時期にWTOを率いる最高の候補者だ」と称賛し、一丸となって支える姿勢を示した。
27カ国が加盟する欧州連合(EU)もオコンジョイウェアラ氏支持で一致。韓国との貿易紛争を抱える日本のほか、中南米やアジアなどでも支持が広がっているもようだ。
一方、韓国の兪明希氏は通商交渉本部長を務め、半導体をめぐる争いで対日批判を繰り返してきた人物。政治経験を持たないことから、米中貿易摩擦のような対立を解消する手腕には未知数の部分が多い。
米メディアの報道によると、WTO懐疑論者のライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は官僚的なトップを求めており、兪明希氏を支持しているとされる。中国は態度を明確にしていない。
WTOのトップ人事では、これまで先進国と発展途上国が対立してきたが、今回は異なる構図となった。WTOの決定は全会一致を原則とするため、一国でも反対すればトップ不在が長引く可能性もある。