[ワシントン 2日 ロイター] – 米供給管理協会(ISM)が2日に発表した10月の製造業景気指数は59.3と、前月の55.4から上昇し、2018年11月以来の高水準を付けた。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が長引く中、自動車などのモノの需要は増え、新規受注指数は約17年ぶりの高水準だった。市場予想は55.8だった。

製造業景気指数は3日の大統領選前に発表される最後の主要指標。指数は50が景気拡大・縮小の節目となる。製造業は米経済の11.3%を占める。

米経済は製造業の底堅さに下支えされるとみられる。国内総生産(GDP)は第3・四半期に33.1%増と過去最大の伸びを記録したが、第4・四半期は大幅に鈍化するとみられる。第2・四半期は31.4%減と過去最大の落ち込みだった。第3・四半期は3兆ドルを超える政府の支援策が景気を押し上げた。それ以降、政府の資金は枯渇し、新たな支援策が合意される見通しは立っていない。

新型コロナの危機により、消費支出はサービスではなく、生活の変化に応じたモノに移行した。モノの消費支出はパンデミック前の水準を超えた。

PNCフィナンシャルのチーフエコノミスト、ガス・ファウチャー氏は「経済活動の制限緩和や景気刺激策によって製造業は力強く回復したが、パンデミックへの対応が続く中で今後の道のりは一段と困難になるだろう」と述べた。

新規受注指数は67.9と、2004年1月以来の高水準を付けた。9月は60.2だった。

受注が急増する中、雇用指数は53.2と、9月の49.6から上昇。19年7月以来初めて50を超えた。

ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は「消費先をサービスから商品にシフトさせているソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)措置は、コロナ感染者が再び急増しているため緩和される気配がない」と指摘。「商品消費へのシフトは引き続き受注を下支えするが、在宅勤務などに対応する製品への支出が殺到したときのような勢いが続く可能性は低い」とした。

製造業は、10月の雇用を全体的に押し上げたとみられる。ロイターのエコノミスト調査によると、同月の雇用統計では非農業部門雇用者数が前月から70万人増える見込み。9月は66万1000人増だった。雇用の伸びは6月に付けた478万1000人増から鈍化している。新型コロナ禍で失われた2220万件の雇用のうち約1150万件が回復した。10月の雇用統計は6日に発表される。