[北京 3日 ロイター] – 中国の習近平国家主席は3日、中国共産党が示した次期5カ年計画について、中国が直面するリスクが大幅に増すとの見方を示した。

中国共産党の最高指導機関である共産党中央委員会と習氏は先月、向こう5年間の経済や社会の政策目標を協議する4日間の全体会議を開催した。

習氏がどのようなリスクに言及しているのかは明らかではないが、中国は貿易や香港問題、新疆ウイグル自治区の人権問題、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)がもたらした経済への打撃を巡り米国との対立が高まっている。

国営新華社によると、習氏は「中国は現在、そして次の段階において、さまざまな対立やリスクにさらされる。予測可能・不可能なさまざまなリスク要因が大幅に増した」と述べた。2035年までに国内総生産(GDP)か1人当たりの収入を2倍にする際の数値目標は設定せずに、経済構造の最適化と開発の質を優先すると話した。ただ目標を達成するのは「完全に可能」とし、21年上半期に適度に裕福な国に変化する目標を達成したと宣言できると見通した。

共産党が先週公表した声明によると、中国は内需拡大と技術革新に注力すると同時に、成長の質を高めることを重要視しながら持続可能で健全な経済発展を目指す。

中国は20年末までにGDPを10年比で2倍にする目標に辛うじて届かない見通しだ。目標達成には経済が今年、最低5.6%伸びる必要がある。今年のGDPは2%増をやや超える程度となる見込み。

共産党は経済と社会の発展に関する提言で、優れた技術が成長をけん引すると述べた。人工知能(AI)や量子情報、半導体などの分野に重点を置く方針だ。

また、戦略的な新興産業においては企業の合併を促すほか、基礎的科学研究に従事する企業に税制の優遇措置を与える。中国のデジタル通貨の発展も安定的に推し進める。

さらに、香港などから成る南部の「粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)」と北京、上海が技術革新における世界的な中心地へと発展する動きを支える。

他にも、中国経済の全体的な競争力を押し上げ、製造業の役割を現状程度で安定させる。不動産市場の投機的な動きを抑制する既存の政策は継続するとした。