[ワシントン 5日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は4─5日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0─0.25%に据え置くことを全会一致で決定し、新型コロナウイルス感染拡大と米大統領選の結果を巡る先行き不透明感で経済が脅威にさらされる中、景気回復支援に向けあらゆる手段を尽くすと改めて表明した。

FRBはFOMC声明で「経済活動と雇用は回復を続けているが、年初の水準を大きく下回ったままだ」と指摘。「新型ウイルスのパンデミックは、米国および世界中で多大な人的および経済的苦難をもたらしている」との認識を示し、「この厳しい局面で米経済を支援するためにあらゆる手段を行使し、雇用最大化と物価安定という目標を促進することに全力で取り組む」と表明した。

このほか、月額「少なくとも」1200億ドルの国債などの買い入れを当面は継続すると表明。経済の進展具合を見極めながら、必要に応じて他の手段やプログラムも利用していく方針を示した。

声明の文言は前回9月をほぼ踏襲。3日投開票の米大統領選に関する言及はなかった。

パウエル議長はFOMC後の記者会見で、米経済は財政支援策と経済活動の再開で上向いていたが、現在は回復ペースが鈍化していると指摘。「家計消費の全般的な回復は、財政刺激策と失業手当の拡充が一部押し上げ要因となっていた」と述べた。

その上で、国内外で新型ウイルス感染がこのところ拡大していることを「特に懸念」しているとし、「人々が安心してさまざまな活動に再び取り組めるようになるまで、完全な経済回復は見込めない」と強調した。

バンクレート・ドットコムのチーフフィナンシャルアナリスト、グレッグ・マクブライド氏は「新型ウイルス感染拡大と雇用の伸びの鈍化に加え、追加財政刺激策が実施されていないことや、米大統領選の結果の判明に時間がかかっていることなどを踏まえると、前回9月のFOMC以降、景気回復に対するリスクは増大した」と指摘。「FRBは利用可能な政策ツールが枯渇していないとしているが、現時点でできることはすでに全て行っている」と述べた。

FRBはこの他、金利や経済情勢などに関する政策担当者の見通しについて、公表方法の変更を発表。12月のFOMCから、見通しの分布を含めた詳細な情報を政策発表と同時に公表する。現在はこうした資料が、FOMC議事要旨とともに3週間後に公表されている。

政策担当者の不確実性とリスクに関する見方が時間とともにどのように変化したかを示す2種類の図表も公表する。

パウエル議長は、こうした変更により「ベースライン見通しを巡るリスクや不確実性に関し、時宜を得た見方が提供できる」と述べた。