【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長と英国のジョンソン首相は7日、電話会談を行い、自由貿易協定(FTA)締結交渉をめぐって意見を交換、合意実現に向けて来週も協議を続けることで一致した。歩み寄りの糸口を探ったものの、主要懸案での隔たりの大きさを確認して終わった。

 1月末にEUから離脱した英国の「移行期間」終了が年末に迫る中、英EUは今月半ばまでの合意に照準を合わせているが、決着のめどは立っていない。協定が発効できずに年明けを迎え、経済・社会の混乱を招く事態への懸念は高まっている。

 フォンデアライエン氏は会談後、ツイッターに「一定の前進はあるが、大きな違いが残っている」と書き込んだ。特に英EU企業の「公平な競争」を維持する枠組みと英海域での漁業権を懸案として挙げた。

 英首相官邸も声明で、こうした分野で「著しい違いが残る」と認めた。それでも「合意へ一層努力するため、交渉チームがロンドンで9日から協議を続ける」と説明した。