菅義偉首相は12日、米大統領選で当選を確実にした民主党候補のバイデン前副大統領が首相と電話会談で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)に対する米国の防衛義務に言及したことを「成果」として強調した。民主党系の外交専門家には尖閣諸島有事で米軍の介入回避を主張する声もあり、日本側の懸念を打ち消した形で、日本政府関係者は一様に安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 「米国も日本周辺の状況を考えて発言したのではないか」

 電話会談に同席した日本政府高官は、バイデン氏が米国の防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の尖閣諸島への適用を明言したとし、こう評価した。中国は尖閣諸島を含む東シナ海で軍事活動を活発化させており、日米同盟の結束を示すことで中国の冒険主義的な行動を抑止する必要があったというわけだ。