トランプ米大統領は政権移行のプロセスを遅らせながら、エネルギーや金融、外交政策に最後の足跡を残そうとしている。バイデン次期大統領は、移行がさらに遅れれば新型コロナウイルスによる死者数が増えると警告している。
国防総省は16日、イラクとアフガニスタンに駐留する米軍の規模を年末までにそれぞれ約2500人に削減すると司令官らに指示した。
トランプ政権はこれに先立ち、イランおよび中国との緊張を高める行動を取っている。次期政権はオバマ政権下での国際協調への復帰に向けた取り組みで、面倒な選択肢を迫られる。
国内に目を向けると、トランプ氏はバイデン大統領が就任する前にアラスカ州の北極圏野生生物国家保護区(ANWR)で石油採掘権を認めようと急いでいる。上院共和党はトランプ氏が米連邦準備制度理事会(FRB)理事に指名したジュディ・シェルトン氏の承認を強行しようとし、次期政権にFRBの空席を残さないようにしている。
トランプ政権が退任間近に取っている大胆な抵抗戦術は、これまでの政権による引け際の行動をはるかに超えている。国内、外交政策ともに現政権が進めているのは、バイデン氏が反対することが周知されているものばかりだ。
トランプ氏が指名した一般調達局(GSA)のマーフィー局長は、まだバイデン氏を次期大統領に認定しておらず、正式な移行手続きの開始を遅らせている。
新型コロナウイルスの感染が全米で急増する中、バイデン氏は16日、政権移行の遅れは死活問題だとして「協力しなければもっと多くの国民が命を落とす恐れがある」と強調した。
原題:Trump to Saddle Biden With Last-Minute Flurry of Policy Moves(抜粋)