[ロンドン 19日 ロイター] – 英製薬大手アストラゼネカAZN.Lとオックスフォード大学が共同で開発している新型コロナウイルスのワクチン候補「AZD1222」が、高齢者に強い免疫効果をもたらすことがわかった。研究者らは12月末までに第3相臨床試験(治験)の結果が判明するとしている。
この結果の一部は先月報じられていたが、論文の全文が19日付の医学誌「ランセット」に掲載された。
それによると、高い重症化および死亡リスクを抱える70歳以上の被験者に強い免疫形成がみられたという。
オックスフォードのワクチン開発チームの幹部はこの結果に勇気づけられたとし、「このワクチンが最も抵抗力の弱い人々を守ることに寄与することを期待する。ただ、確信を持つにはさらに研究が必要だ」と述べた。
このワクチンが基礎疾患を持つ患者を含め、幅広く有効かを調べる第3相臨床試験はすでに進行中で、別の幹部は、結果がクリスマスまでに判明する可能性があると指摘。同時に「われわれは結果を急いでおらず、他の開発チームと競争していない」と強調した。有効性に関するデータは論文公表に先立って発表するという。
アストラゼネカとオックスフォード大が開発するワクチンは、ウイルスベクターワクチンで、ヒトに対して病原性のない、または弱毒性のウイルスベクター(運び手)に抗原たんぱく質の遺伝子を組み込んだ組み換えウイルスを投与するもの。これに対し、米ファイザーPFE.N・独ビオンテックBNTX.Oや米モデルナMRNA.OのワクチンにはメッセンジャーRNA(mRNA)技術が用いられている。