【北京時事】中国の学者が、インドとの国境をめぐる対立で「中国軍がマイクロ波兵器を使用した」と語り、波紋が広がっている。銃火器を使わず敵を制圧するため、中国はマイクロ波兵器の開発を進めているもようだ。ただ、インド側が否定する一方、中国メディアも真偽をあいまいにしている。
マイクロ波は電磁波の一種で、身近な生活では電子レンジに使われている。17日の英タイムズ紙(電子版)などによると、中国人民大学国際関係学院の金燦栄副院長は講演で、標高5600メートルの地点にあるインドとの係争地域で、中国軍が8月29日にマイクロ波兵器を使いインド軍から山頂の陣地を奪ったと述べた。
金氏は中国軍が麓からマイクロ波を使い、「山頂が電子レンジになった」と主張した。この攻撃により「15分で山頂を占領していた全員がおう吐し、逃げた」という。事実であれば、世界で初めてマイクロ波兵器が軍の戦闘で使われた例になるとみられている。
しかし、インド軍はツイッターで「根拠がない。フェイクニュースだ」と表明。中国軍は金氏の主張にコメントしていない。20日付の共産党機関紙・人民日報系の環球時報は「英メディアが大げさに報じた」「インド軍が否定した」と伝えたが、中国軍がマイクロ波攻撃を行ったかどうかには触れなかった。
また、マイクロ波では金氏が言うような攻撃は困難という見方もある。米国は暴動対策のために95ギガヘルツの電磁波を利用する「非致死性兵器」を開発したが、直接照射された人に強い熱を感じさせるものだとされている。