[ワシントン 1日 ロイター] – 米議会の超党派グループは1日、9080億ドルの新型コロナウイルス救済法案を提出した。中小企業や失業者、航空業界などへの新たな緊急支援を巡る共和・民主両党間の約1カ月にわたる行き詰まり打開を目指す。

共和党のトランプ政権や米大統領選で勝利を確実にした民主党のバイデン前副大統領、上下両院の指導部などの支持はまだ得られていないが、保守派や穏健派は支持しているという。

法案によると、ホテルやレストラン、中小企業を支援する2280億ドルの追加給与保護プログラム(PPP)を含む緊急支援を3月31日まで実施する。州や地方自治体は同法案の下で直接支援を受けることになるという。

また関係者2人によると、米輸送部門に対する450億ドルの支援のうち、給与支援として4カ月で170億ドルが航空会社に割り当てられる見込み。また、交通システム向けに150億ドル、空港向けに40億ドル、民間バス向けに80億ドル、全米鉄道旅客公社(アムトラック)向けに10億ドルが振り向けられるという。

共和党のミット・ロムニー上院議員は、同法案には新規資金3480億ドルに加え、3月に成立した新型コロナウイルス支援・救済・経済保障法(CARES法)の資金5600億ドルが充当されると述べた。

法案には、新型コロナ流行に対応する企業や学校向けの新たな補償など共和党が求めていた内容が含まれているが、全体の支援額は上院共和党トップのマコネル院内総務が主張していた5000億ドルを大きく上回っている。

議員によると、法案には失業給付上乗せも含まれており、4カ月間にわたり週300ドル増額される見込み。民主党は週600ドルの上乗せを要求していた。

マコネル院内総務は、トランプ大統領が月内の署名に前向きになるような提案を含む別の法案を上院共和党議員に回覧し、十分な支持を得られるかどうか見極めていると明らかにした。

その上で「冗長な交渉をしている時間がないという点ではみんな一致している」とし、「結果を得たいのでれば、大統領の署名を得る必要があることを再認識してもらいたい」と強調した。

また、民主党の上院議員グループは1日、週600ドルの失業給付上乗せ措置を2021年10月まで延長する法案を提出した。

民主党のペロシ下院議長とムニューシン財務長官はこの日、新型コロナ対策や予算案などを巡り協議する予定。

ムニューシン長官は上院銀行委員会での証言後、記者団に対し、ペロシ議長との電話会議の主な目的は連邦政府機関の閉鎖回避に向けた予算案を巡る協議とした上で、新型コロナ対策についても協議し9080億ドルの新たな救済法案を検討すると話した。