【ワシントン時事】米大統領選をめぐり共和党地盤の南部テキサス州が、バイデン次期大統領の勝利確定阻止を目指し、連邦最高裁に訴訟を起こした。正副大統領を正式に選出する選挙人投票を14日に控え、トランプ陣営が最後の抵抗を試みた形。トランプ大統領や共和党知事を擁する他の州が訴えを支持する一方、民主党知事の州は猛反発している。
トランプ氏、法廷での逆転絶望的 最高裁が異議申し立て認めず―米大統領選
テキサス州の司法長官は8日の提訴で、いずれもバイデン氏が勝利した南部ジョージア、東部ペンシルベニアなど4激戦州で「選挙プロセスが不適切に変更され、非合法な票が大量に投じられた」と主張。投票結果に基づくのではなく、いずれも共和党が多数派の各州議会に選挙人を指名させるよう求めた。
大統領選は既に全州で集計結果が確定し、バイデン氏は当選に必要な270人を上回る306人の選挙人を確保している。だが、仮にテキサス州の訴えが認められれば、トランプ氏が逆転する可能性が出てくる。
トランプ氏は9日、自身も原告に加わると最高裁に申し立てた。10日にはツイッターで「米史上最大の不正選挙から国を救うチャンスが、最高裁にはある」と投稿。米メディアによると、共和党知事のいる少なくとも17州が訴えを支持したほか、同党下院議員100人以上もテキサス州の主張に賛同する意見書を最高裁に提出した。
一方、訴えられた4州は、テキサス州の主張に「虚偽のでっち上げだ」(ペンシルベニア州司法長官)などと反発。民主党知事を擁する22州と首都ワシントンも、最高裁への意見書で訴えを退けるよう求めた。
テキサス州の提訴は、州境画定など州同士の係争を解決する制度に基づくもので、大統領選の結果への異議申し立てに制度を利用することを最高裁が認めるかどうかは分からない。最高裁は8日、ペンシルベニア州での結果確定阻止を目指したトランプ陣営の訴えを退けており、大統領選をめぐる争いに介入する意思がないことを示したという見方も出ている。