【ワシントン時事】米大統領選でのバイデン次期大統領の勝利確定阻止を目指し、南部テキサス州政府が起こした裁判で、連邦最高裁は11日、訴えを退ける判断を下した。最高裁は8日にも、東部ペンシルベニア州での集計結果に対するトランプ大統領陣営の異議申し立てを退けており、大統領選をめぐる争いに介入しない姿勢を改めて明確にした。
トランプ陣営、最後の抵抗 結果確定阻止へ最高裁提訴―米大統領選
トランプ氏は最高裁に判事3人を送り込み、判事構成の保守派優位が鮮明になっていた。その最高裁で「連敗」したことから、CNNテレビは「トランプ氏に法廷闘争を通じた逆転のチャンスがないことが最も強烈に示された」と報道。選挙結果を覆す道はほぼ閉ざされたとの見方が広がっている。
共和党地盤であるテキサス州は8日に提訴し、いずれも民主党のバイデン氏が勝利したペンシルベニア、南部ジョージアなど4激戦州で「非合法な票が大量に投じられた」と主張。投票結果に基づくのではなく、共和党が多数派を握る州議会に選挙人を指名させるよう求めていた。
最高裁は決定で「テキサス州は、他州の選挙実施方法に関して訴訟を起こす法的利益があることを示していない」と断定。原告適格がないと指摘し、事実上の「門前払い」とした。
決定にはトーマス判事とアリート判事の声明が付記された。ただ、トランプ氏が指名したゴーサッチ、カバノー、バレットの3判事は異論を挟んでおらず「巻き込まれることを拒んだ」(ニューヨーク・タイムズ紙)もようだ。
正副大統領を正式に選出する選挙人投票は、各州で14日に行われる。バイデン氏は既に、当選に必要な270人を上回る306人の選挙人を確保しているが、訴えが認められれば逆転の可能性もあった。
最高裁の決定前、トランプ氏はツイッターに「最高裁が賢明さと勇気を示せば、わが国の選挙プロセスは再び尊敬を得られるだろう」と投稿。司法判断による逆転勝利に期待を寄せたが、決定後は「最高裁にはがっかりだ。賢明さも勇気もない」と非難した。
また、トランプ氏の顧問弁護士を務めるジュリアーニ元ニューヨーク市長は最高裁決定を受け、保守系メディアのインタビューで「まだ終わったわけではない」と主張。トランプ氏自身や一部の選挙人を原告に、法廷闘争を続けることは可能だと強弁した。