モデルナの新型コロナウイルス感染症(COVID19)ワクチンが、米食品医薬品局(FDA)諮問委員会の支持を確保した。米国で2つ目のコロナワクチンの使用許可に向けて前進した。

  FDAの諮問委は17日の会合で、モデルナのワクチンの接種によってもたらされる恩恵がリスクを上回ると判断。採決結果は賛成20、反対ゼロ、棄権1だった。米国のワクチン接種推進の取り組みを後押しすることになる。接種は当初、ヘルスケア従事者や長期ケア施設の高齢者が中心となる。諮問委の勧告を受け、FDAは18日にも緊急使用許可(EUA)を与える可能性がある。

  FDAは先週、米ファイザーとドイツのビオンテックが開発したコロナワクチンにEUAを付与した。モデルナとファイザー・ビオンテックのワクチンはメッセンジャーRNA(mRNA)技術に基づいており、いずれも後期段階の臨床試験でコロナに対する高い有効性が示された。

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  諮問委メンバーで、メハリー医科大学の学長であるジェームズ・ヒルドレス氏は「1月のウイルス配列解析から12月に2つのワクチンに至ったことは目覚ましい成果だ」と採決後に語った。

  17日の米株式市場の通常取引終了後の時間外取引でモデルナの株価は一時3%下落。年初から7倍余りに値上がりしている。

  諮問委会合に先立って公表されたFDAスタッフの報告書によると、モデルナのワクチンは症状を伴うコロナ感染の予防で有効性94.1%と判断された。副反応としては頭痛や倦怠(けんたい)感、筋肉痛が挙げられた。

  諮問委会合ではファイザー・ビオンテックのワクチンを接種した人に副反応が生じている問題も取り上げられた。

  FDAのワクチン・関連製品アプリケーション部門のドラン・フィンク副ディレクターは17日の会合で、ファイザーとFDAがワクチンと共に配布するファクトシートを変更すると明らかにした。接種を受ける人を観察し、まれではあるが深刻なアレルギー反応に対処する医薬品を施設で備えるよう促す米疾病対策センター(CDC)のガイドラインを反映させる。

  英国でファイザー・ビオンテックのワクチンを接種した人のうち数人に副反応が生じ、米アラスカ州でも2人に同様の反応が見られた。

  フィンク氏はオンライン形式のパネル会合で、「現時点でわれわれとCDCはこれらの例を引き続き調べており、データを検証している」と説明。その上で追加の勧告が必要かどうか判断すると述べた。

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原題:FDA Advisers Back Authorization of Moderna’s Covid Vaccine (1)(抜粋)