米連邦公開市場委員会(FOMC)が米国債購入計画の調整を見送った影響が今週、米国債市場で表面化するかもしれません。10年債利回りはこれまで、パウエル議長が長期金利の上昇抑制に傾斜するとの思惑から大幅上昇には至っていませんでした。1%台回復は来年以降というのがエコノミストの中心的な見方ですが、今週はクリスマスの休日を控え、新規失業保険申請や国内総生産(GDP)など重要統計が短期集中で発表され、市場が振れやすくなる可能性があります。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
9000億ドルが目前に
米議会共和、民主両党の指導部は19日、新型コロナウイルス感染拡大の影響に対応する総額9000億ドル(約93兆円)の追加経済対策案で大筋合意に達した。連邦準備制度の緊急融資制度の扱いを巡る対立で妥協が成立し、最終合意に向け最後の大きな障害が取り除かれた。上院のマコネル共和党院内総務は「本当に極めて近いところにあるようだ」と述べ、最終合意は数時間先との見方を示した。
制御不能
英国のハンコック保健相は新型コロナウイルス変異種の感染が「制御不能」に陥っていると警告。イングランドの一部に適用されている最も厳しい制限措置はワクチンが普及するまで維持されると示唆した。20日からロックダウン(都市封鎖)に入ったロンドンとイングランド南東部では、住民1600万人余りが外出自粛を指示されており、政府はクリスマスには制限措置を緩和する計画を撤回した。
米大統領は抗議せず
ロシアからとみられるサイバー攻撃で、実際にハッキングの被害に遭った政府機関や企業が世界で少なくとも200に上った。米国のサイバーセキュリティー企業と、進行中の調査に詳しい3人の関係者が明らかにした。トランプ米大統領は19日、ロシアではなく中国に責任があるかもしれないとの見方をツイートで示唆。実際のハッキングはフェイクニュースが報じるよりはるかに小さい規模だとも述べた。
独り立ちの準備
米国債市場に改革の波が押し寄せている。3月に米連邦準備制度理事会(FRB)が助け船を出さざるを得なかった事態を教訓に、大規模な中央清算機関を設立する構想が持ち上がっている。パウエル議長はFRBが市場に恒久的な役割を持つことは解決策ではないと16日に発言し、その可能性があらためて注目された。
楽観は禁物
史上最速ペースでワクチンが開発され、世界規模での搬送と接種プログラムが稼働したものの、新型コロナウイルスが近く根絶される保証はない。専門家らが口をそろえて警告した。エモリー・ワクチン・センター(アトランタ)のウォルター・オレンスティン氏は、「ここまで世界中に感染が広がっているので、実際に根絶となれば驚きだ」と話した。
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